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ジョングク先輩はその壁に手をつき、私の目を見つめる。
「………ジョングク先輩……？」
「………ねぇ、」
「…………はい。」
「じゃぁ俺にはもう好きって言わないの？」
……なに？ どういう事？
私たった今先輩の事諦めるって宣言したばっかですけど。
「………そう、なりますね。」
「ふぅん。…………………なんか嫌だな、それ。」
「……え、っと？ ……いや、ですか？」
「うん、嫌。諦めるって事はさ、まだ俺の事好きなんでしょ？」
「まぁ、そう……ですね、」
「じゃぁまた俺に好きって言ってよ。」
「…………、」
「……それともホントはテヒョンがいいの？」
「いや、それは無いですけど……、」
「なら問題ないでしょ。」
「でも、」
「これからもいつも通り好きって言って。Aの"好き"は俺だけのものでいいじゃん。」
「へ、変な独占欲出さないでくださいよ。………返ってこない"好き"の虚しさ、先輩にわかりますか……？」
びっくりするくらい俺様な言葉に、いくら先輩の事好きでも流石にイラついててきたんですけど……。
「……俺が返したら虚しくならない？」
「そりゃぁ返ってきたら虚しく無いですけど、返ってこないじゃないですか。」
「これからは返すよ。」
「…………さっきからなんなんですか。適当なことばっかり言わないでください。……自分を好きな奴がいなくなるって思ったら急に惜しくなりましたか？」
言い返す私を黙って見ていた先輩は少し黙って考えて、また口を開いた。
「……うん、惜しくなった。」
「は、………なにそれ……、」
「んー、だってさ、ここしばらくAからの"好き"聞かなかったからなんか物足りないなぁって。」
「……だから私にいい続けろって？」
「そう。」
「最低……。」
先輩のあまりの身勝手さに、小さな声で呟いてさっきは出なかった涙がじわりと滲む。
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作者名：おちゃこ
| 作成日時：2023年2月24日 11時
