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夜になるまで何をしていようか、と自室に戻りゴロゴロしていると、急にスパンッと音を立てながら薬研が障子を開け放ってきた
俺は彼が障子越しに影を落としてからそれを開けるまでの本の一瞬の間に壁際へ異動し格好良く座り込んで迎え入れる
A「……なんの、ようだ」
息が切れているのがバレないようにゆっくりと言葉を紡いでいく
正直言うと肺が酸素をこれでもかと言うほどに欲しているがそんなのは知ったことか
肺の運命より俺の今後の中二病生活のが大切なんだよ!!
薬研「?戦に行くんじゃないのか?」
A「夜だと…言っていたはずだが??」
俺の至極真っ当な疑問に薬研は困ったように目を伏せ首の後ろをガシガシと掻いた
こいつホントにちっせぇくせに妙に大人びてるというか………おっさん臭いというか………
薬研「あー……。あのな?この本丸で何時でも、向こうに着きゃあ夜になってる。ちゃんと大将は九条の要望を呑んでるからな?」
だからさっさと支度しろ!と兄貴のようにニカッと笑う彼に流され腰を上げた
相も変わらず帰ってこないこの部屋の主には申し訳ないが、再度借りさせてもらうぞ
と、見えもしないどころか会ったことすらない相手にそれとなく断りを入れてクローゼットを開ける
一度来たことがあるその和服はすんなりと俺に着られ、ものの数分で支度が調う
薬研「よし!じゃあいくか!!」
薬研に引っ張られながらも踏み込んだ門の先
一瞬眩い光に包まれたかと思えば、気づけば薄暗い町並みの中央に立っていた
えっなんで?さっきまで昼じゃなかった??
五虎退「あっ!く、九条様……!」
A「あーっ、と……五虎退、だったか?」
名を呼ばれ振り向いた先には先日ちょろっとだけ話した真っ白な少年
必死に記憶をまさぐり回して出てきた名前を控えめに呼べば、大きく返事をしてそれはもう嬉しそうにはにかんだ
名前間違えてたら大変だったな
薬研「おっ?五虎退とは知り合いだったのか。まぁ一応紹介しとく。今日の部隊は俺を隊長に、九条、五虎退。そして、前田と平野と今剣だ」
ん?前田と平野って…………
なんとなく聞き覚えのある名前にチラリと周囲を窺ってみると、建物の影で遠慮がちにこちらを見上げる見覚えのある2人の少年が目に入った
……おぉっと大変だ、どっちがどっちか分からん
記憶の有無を確かめられる前に思い出さねば、と、目を細めた
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凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (9月26日 19時) (レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公!新しくて大好きです!続きとても楽しみに待っております! (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです!作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2018年5月13日 18時