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〜薬研side〜

シュッと何かを貫く音が背後から聞こえ、バッと振り向くとすぐそこにいたのは敵の脇差


完全に出遅れた


やつは既に俺を射程内に捉えていて、今から刀を抜いたとしても攻撃は防ぎきれないだろう


柄にもなく一撃目を受ける覚悟でギュッと目をつぶる


が、覚悟していた痛みは降りかかってこず


もっと言えばやつが動く気配もなくて


不思議に感じそっと目を開いて観察する


直後見つけたのは、脇差の腹から生える打刀と言うのには無理がある大きさのきれいな刀


…………敵じゃない


遡行軍の刀はもっと禍々しい感じがするはずだ


そもそも夜戦が主となるこの戦場には太刀は敵本陣でも無い限り現れない


ということは…………


薬研「く、じょ…………」


俺がその名を呼ぶと同時に脇差を貫通していた刀は垂直に下ろされ、腹下をバックリと開かれたやつの断面から黒いもやが流れ出す


徐々に身体が形を失い遂にその姿が見えなくなったとき、もと脇差のいた場所の向こう側に立っていたのはやはり九条で


彼は動けずにいる俺を一瞥してから踵を返す


かと思えば再度刀を構え直し一瞬で敵短刀を切り捨てた


そこで俺はとんでもない事実に気づく


敵の残りが、3体しかいない


今俺が見ているうちに九条が倒したのは2体


なのに残党数から考えると、実際に倒した数は3体となる


つまり


俺の………俺たちの気づかないうちに既に戦闘は始まっていた


つぅと冷や汗が背をなぞる


他のやつらもその事実に気づいたのだろう、誰も動けずただただ目を見開いて突っ立っている


そうこうしているうちにどんどん数は減っていって


加勢しなければ


やっと我にかえり刀を握り直したと同時に、最後の短刀が消えた


今しがた構えたばかりの刀は行き場をなくし、重力に逆らうことなく腕と一緒に力なく下がっていく


カチン、と刀が鞘に納められる音が辺り一体に響き、音源から徐々に視線を上げれば冷めきった目と視線が交わった


薬研「っ、く、九条、助けてくれてありがとう。助かっ………」


A「それでよく」


薬研「え?」


A「それでよく夜戦の要と言えたものだな」


「「っ!!」」


息が詰まる


彼は大将に散々言われながらこの戦場に来た


「太刀には難しい」「短刀の方が戦いやすい」





だと言うのにこのザマはなんだ


敵襲に気づくこともできず彼を守るどころか守られ、挙げ句戦闘中に呆けて突っ立っているだけなんて


俺は力なく膝をついた

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凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (9月26日 19時) (レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公!新しくて大好きです!続きとても楽しみに待っております! (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです!作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2018年5月13日 18時

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