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〜扇side〜
なぜ立っていられるのか不思議でならないくらいにボロボロな姿の九条が、俺に向けて刀を宙に放った
俺はとっさにそれを全身で極力付加を与えないように受け止める
扇「あっ、ぶね……」
間一髪で俺の腕に収まった刀は、鞘にすらヒビが入っている有り様
こんなのを投げて寄越すなんて……九条は俺を信じてくれたのか？
俺になら刀を預けてもいいと、俺が直せると
そう考えると言い表せない嬉しさが込み上げてきて
……でも、世の中そんなうまくできてる訳じゃない
そうでなきゃ彼は
A「折れ」
扇「………は？」
A「その刀を、折れ……」
こんなこと言わないだろう
思いもよらないその発言に頬がひくつくのが分かった
そんな俺の心情をまるで意に介していないような、しかし苦痛に歪んだ顔で九条は口を開く
A「……途中で、帰ることになったのは……俺が、怪我を負った……せいだ。こいつらは悪くな、い……っ。……自分の、責任は……自分でとる。俺に……、差し出せる、のはっ、その刀だけ、だ」
息も絶え絶えな状態で焦点も定まっていない瞳を辛うじて俺に向ける九条
どう考えても限界などとうに越えているだろう彼が、それでも何とか紡いだ言葉はあまりにも悲痛なもので
短刀を守るために？
でもだからと言って刀を……己自身を犠牲にするのか？
それが……九条の“責任の取り方”だとでも………？
……ふざけるな
扇「九条。俺は、別に誰も責めようだなんて思っていない。責任をとれとも思ってない。お前がかばう必要も、身代わりになる必要もない」
A「…………綺麗事だな。建前だけ、だろ、う？」
扇「なんとでも言えばいい。お前が素直に俺の言葉を受け取ってくれるなんて端から思ってない。……信じてくれなんてそんなこと言わない。ただ分かってほしい」
俺が九条も、そして九条が己を呈して守ろうとした薬研たちも傷付けないという事を
心からただお前を“案じて”いるのだという事を
せめて手入れが終わるまでだけでもいいから
俺の言葉に眉をひそめ蔑むような視線を向けてくる九条に、負けじとまっすぐその瞳を見つめ返す
少しして、最初に動いたのは九条だった
長いまつげを伏せ俺から視線を外したことを、彼がこの場では引くことにしたと解釈する
よかった、と安堵のため息を吐いたのも束の間
ふぅぅ、とか細く息を吐き出した九条は、ゆっくりと地面に吸い込まれるように身体を傾けた
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凛音 - 本当に面白いです！続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (9月26日 19時) (
レス) @page40 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - 中二病の主人公！新しくて大好きです！続きとても楽しみに待っております！ (7月18日 19時) (レス) @page40 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーぬぬーぬぬー - 続きをお恵みください… (2022年11月23日 0時) (レス) @page40 id: 8435a17515 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年9月24日 19時) (レス) @page40 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
YM - このお話大好きです！作者様の負担にならない程度に更新してくださると嬉しいです (2021年12月27日 15時) (レス) id: 0c982d92bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご
| 作成日時：2018年5月13日 18時
