１２ ページ16
〜鶴丸side〜
A「…あれ？」
ふと彼女がつぶやく
一期はすぐさまどうかしたかと尋ねた
が、彼女は聞こえていないのか返事をしない
あり得ないとでも言うかのような顔で一点を凝視している
その目線の先には…手？
A「傷が、ない……？嘘でしょ…？」
そう言って体をバッと起こし身体を確認しだした
俺はまたしても言葉を失った
彼女のその言葉は、表情は、行動は
まるで
手入れを受けたことがないとでも言うかのよう
…いや
手入れの存在すらも知らないのではとさえ思わせる
それくらい、本気で戸惑っているのが分かった
鶴丸「君は…君は手入れを知らないのか…？」
A「て、いれ…？」
手を強く握りしめて彼女の返事を待つ
A「手入れなら知っています」
その言葉にホッとした
A「ですが、受けたのは初めてです。手入れ部屋には入れませんでしたから」
…が、続く彼女の言葉に一層強く手を握りしめる
彼女の言うことが本当なら、彼女は傷ついたまま放置されていたのか？
手入れ部屋があることを
そこへ入れば傷が治ることを知っていながら
それでも彼女がそこに入ることは許されなかったと？
前任に対してふつふつと怒りがわいてくる
A「凄いのですね、手入れは。こんなにも体が軽いのは初めてです」
あぁ、頼むからそんな嬉しそうな顔をしないでくれ
当たり前なんだぞ？
傷が治ることも
体が軽いのも
だから…
新しいことを発見した子どものように
無邪気に笑わないでくれ…っ
一期一振「桜蝶姫殿…？」
A「は、はいっ」
一期一振「なぜ…泣いておられるのです？」
A「え…」
一期のその言葉に伏せていた顔を上げ彼女を見る
その頬には幾粒もの涙が流れていた
彼女は頬を触り、自分の手に着いた滴をしばらく見つめこう言った
A「すみません…今思い返せば酷い人だったな、と……」
恐らく前任の事を思い出しているのだろう
彼女の肩は心なしか震えているように見えた
このままでは彼女が何処かへ行ってしまいそうで
繋ぎ止めるために強く抱きしめた
鶴丸「もうそいつはいない…。大丈夫っ…！大丈夫だから…っ」
一期一振「そうです…っ！安心していいんですよ…！」
一期も包むように彼女を抱きしめ、そう言った
A「…そう、ですね。ありがとうございます、鶴丸国永様、一期一振様」
彼女の安心した声に少しだけ心が落ち着いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロノト(プロフ) - う〜んお母さんもお母さんでコワイな (2022年10月22日 13時) (
レス) @page28 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 絵すごい上手ですね！僕こうゆう話すごい好きです！僕が絵を書くと頭がパイナップルみたいになるのですごいですね！画力分けて欲しいくらいです！ (2022年1月19日 3時) (レス) @page30 id: 8ea6652359 (このIDを非表示/違反報告)
鱗川 - 香恋さんにとても同感です！ (2022年1月5日 1時) (レス) @page30 id: d49fa68ddd (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 話も面白いし、絵すごい上手ですね！見た時びっくりしました！この話とっても面白いです！これからも頑張ってください！応援しています！ (2020年5月12日 12時) (レス) id: e1e3ded61a (このIDを非表示/違反報告)
名無しのモブ - ２３の小狐丸が子狐丸になっています (2019年10月1日 19時) (レス) id: 977f6c68bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りんご
| 作成日時：2017年2月13日 23時
