【ハイキュー!!×黒バス】うわさの白雪姫＊2nd

はじめの一歩 ページ6

先輩が、笑ってくれた。

力なく、だけど。笑ってくれた。


それだけでなんだか私も幸せな気分になれるのはなぜだろう。

そんな風に頭の片隅で考えているうちに、気づけば私もつられて口角が上がっていた。

菅原「....A、」

急に、孝支先輩が真面目な顔をする。
まっすぐな彼の視線が私の目とかちりとぶつかった。

菅原「俺は、Aの先輩だ」

A「、？はい」

菅原「先輩で、バレー部の仲間だ」

A「はい」

菅原「『一人で悩むな』」

A「....！」


....先輩、エスパー？

ちょっとビビる。それとも私、そんなに分かりすかったのかな。

でも。どっちにしても....


菅原「迷惑かける、だなんて思うなよ」

A「エッ....」

菅原「図星なんだべ？」

ふはって眉毛をハの字にさせて笑う。

....やっぱりエスパー........


菅原「迷惑だなんてAが決めることじゃないんだよ。

別に今言えなんて言わない。お前には『バレー部』っていう仲間がいる。全員に言えとも言わない。

ただ、」

ひとつひとつの言葉がするりと心に浸透していくのが分かった。

別に吐き出した訳でもないのに、気持ちが軽くなっていく。不思議だな。


菅原「Aはひとりじゃないんだよ」


....あれ、おかしいな、孝支先輩の顔がぼやけて見える。

口の中に塩気を感じて、そこで初めて自分が泣いていることに気づいた。

A「せんぱ、....すっみません....」

涙を見られたくなくて両手で顔を覆い、くるりと背中を向けた。

菅原「ん」

それでも彼は、柔らかい手つきで頭を撫でてくれる。

先輩優しすぎる....


それでもやっぱり、今言えはしないけど。

孝支先輩のお陰で足踏みで留まっていた歩みが、ここで初めて前進できた気がした。


これはきっと、安堵と決意の涙。

『彼ら』とのけじめと決別のための

はじめの一歩。

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