検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:14,857 hit

◆3 雑談と思い出と吉田と ページ3

「公安にすごいやつが入ってきたんだと」

ハンバーガーを食べながら思い出したように話し始める吉田。
私も口の中のハンバーガーを飲み込んでから応える。

『すごいやつ?強いの?』
「よく分かんねえけど、普通の人間なのにチェンソーの悪魔になれるらしい」
『なんじゃそりゃ、普通じゃないじゃん』

悪魔になれる人間なんて初めて聞いた。

普通じゃないってことは、

『あー、特異4課ってことね』
「そう。その通り。」

吉田は手に取ったふにゃふにゃのポテトで私の方を
ビシッと指しそう言うと、すぐにまた口に運んだ。


『でもちょっと会ってみたいよね、公安の人達』
「色んな意味で狂ってる人ばっかだよ」
『狂ってないとデビルハンターなんかやってられないでしょ』
「確かに」


_____公安の人に会ってみたい

それは、公安デビルハンターである全ての人に向けられている訳では無い。
私の頭の中にあるのは、あの日助けてくれたイケメンのお兄さんただ1人。

1度助けてもらっただけ、名前も知らない、今生きているのかどうかすら分からない彼。
それでも彼を知りたい、近づいてみたいと思う気持ちは、おかしいのだろうか。

デビルハンターを続けていたら、
少しは近づけるかな。


「おーい、生きてる?」

『え?』

吉田の声にはっと我に返ると、いつの間にか顔を覗き込まれていた。

「どーしたんすか、寝不足っすかAサン」

そう言って私を小馬鹿にしてニヤニヤと笑う吉田。

そのニヤつく薄い唇の端にはハンバーガーを食べた時の残骸であろうマヨネーズが付いていた。

『何でもありませーん、ってか口にマヨ付いてるよ』
「マジ?どこ、」

その場所を一向に探し当てられない吉田の手からティッシュを取りあげた。

『ここ、はい取れた』
「ん、ありがと、」

またニヤッと笑った吉田は、もう冷めきったポテトに手を伸ばした、と思ったら、
私の前に差し出してきた。

「じゃ、お礼な。はい、あーん」
『え、どういうこと、』
「彼氏のいないかわいそーなAチャンにご褒美。」

また始まった。吉田の悪ふざけ。

『あれ、なんでいないことになってるのカナ?』

「どーせいねぇんだろー?
俺も彼女いねぇしリア充ごっこ楽しもうぜ、
おら、早く食えよ」

『ふふ、強引な彼氏様ですことー』
「ちょ、おい、指噛むなって」


吉田のこういう所が案外嫌いじゃなかったりする。


いきなり消えたりしないでね、

その端正な顔に、心の中でそっと呟いた。

◆4 いちごジャム→←◆2 同業者



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (80 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
144人がお気に入り
設定タグ:チェンソーマン , 週刊少年ジャンプ   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麦踏(プロフ) - せつなさん» せつなさんありがとうございます!!とっても嬉しいです;; (2021年3月29日 4時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - とても面白いです、、!! (2021年3月25日 19時) (レス) id: 7d809df817 (このIDを非表示/違反報告)
麦踏(プロフ) - あるみくさん» あるみくさんありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです;;亀更新ですがこれからもお読みいただければ幸いです!!! (2020年12月24日 1時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - え…好きです←唐突。え…おもろ…飛びそうなくらい好きです。頑張ってください (2020年12月23日 23時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:麦踏 | 作成日時:2020年12月18日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。