◆12 出しゃばり ページ12
「よく会いますね」
『あはは、そうですね』
今日もスーツが良く似合うお兄さんに軽く会釈をする。
「大丈夫すか、こいつらになんかされてないすか、」
お兄さんは先程の金髪頭の男の人やツノの生えた女の人を指してそう言った。
『あ、いや特には……』
「なぁ!ジョシコーセーってやつだろお前!!」
「JKというらしいぞ!こんな短いスカート履いとるがオトナの色気が足りんの、ワシの方がイケてる」
「まあマキマさんの方がイイ女だな」
私をジロジロ見て失礼な言葉を止めどなく発するお二方…
少しずつ慣れてきて、もうなんとでも言え…という心持ちが出来ると、はっとしてお兄さんにお礼を言わなければならないことを思い出した。
『あの、そういえばこの間はありがとうございました、』
うんざりした顔で二人を諌めていたお兄さんは私の方を見た。
「あぁ、この間、、あの後大丈夫でした?」
『はい、学校からちょろっと事情聴取されたくらいで…』
私はあははと軽く笑い飛ばすと、お兄さんは頭を掻きながら
「あ、いやそうじゃなくて、」
『?』
「メンタル的な面で大丈夫かって」
真っ直ぐ私を見てそう言ってくれた。
話の流れで何気なく発された言葉だったとしても、表面上でも、私に向けられた心配の気持ちが何処か嬉しくて、じんわりと私の心を温めていく。
『っはい!全然大丈夫です!』
気恥ずかしくて身体が軽く強ばったまま勢いで応えてしまった。
「いやほんとかよ」
そんな私を見て少し笑みを浮かべるお兄さん。
その表情に口元が緩みそうになり咄嗟に口を抑えた。
「まあ元気そうでよかった」
『ふふ、はい、本当にありがとうございます』
いつの間にか先程のお二方はその辺を歩く野良猫に夢中になっていた。
ほんの少しだけでもこんな暖かい気持ちになれて良かった。
話が一区切り着いて、お兄さんは
「じゃ、この辺で、」
と二人を呼び戻そうとした。
……もうどこで会えるか分からない、というかもう会えなくなってしまうかもしれない、
そんな気持ちが私を衝き動かしてしまった。
『あ、あのっ、!』
『お、お名前、教えていただけませんか…』
お兄さんは振り返り、先程とは打って変わって、一瞬で怪訝そうな顔をした。
「は?」
いや、そうだよな、お兄さんからしたら私はただの一般人だし、ただの小娘に名前なんて聞かれたくないよな、
『いや、あの、これは、、』
その瞬間、お兄さんの携帯が鳴り響いた。
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麦踏(プロフ) - せつなさん» せつなさんありがとうございます!!とっても嬉しいです;; (2021年3月29日 4時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - とても面白いです、、!! (2021年3月25日 19時) (レス) id: 7d809df817 (このIDを非表示/違反報告)
麦踏(プロフ) - あるみくさん» あるみくさんありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです;;亀更新ですがこれからもお読みいただければ幸いです!!! (2020年12月24日 1時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - え…好きです←唐突。え…おもろ…飛びそうなくらい好きです。頑張ってください (2020年12月23日 23時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦踏 | 作成日時:2020年12月18日 2時