◆2 同業者 ページ2
カエルの悪魔に襲われてから数年後。
当時中学生だった私は、高校生活を楽しむJKになっていた。
｢キャーー！！！だ、だれか、！！｣
学校から帰る途中、流行りの音楽が流れるイヤホンの向こう側に女の人の叫び声が聞こえた。
最近多いなぁ、悪魔。
イヤホンを耳から無造作に外し、規律正しく音を立てて駅へと向かっていたローファーを声の方に向けて、走り始める。
大きなビルの横を通り、狭い路地を抜け、人の間を掻き分けて、駅から遠く離れた大通りの街路樹に大きな悪魔を見つけた。
.....何あれ、セミ？
今回は公安に連絡するまでもないかと思い、
その気持ち悪い見た目にザワつく民衆にいつも通り声をかける。
『危険ですので離れていてください。』
一目散に逃げる人々の群れを逆向きに進み、大きく醜い悪魔に向かって手を掲げた。
パチンと指を鳴らせば、その悪魔はやってくる。
どこからともなく大量の水が押し寄せ、セミを包み込む。
青く澄みきってどこか美しさすら感じる水の塊は、あっという間に酸素を奪っていく。
ジジ、ジジ、と苦しそうな音を立て、やがてセミの悪魔は息を絶やした。
この遺体をどうするか考えていると、
｢まーた先越された｣
馴染みのある声が聞こえた。
『あ、吉田、』
｢うわ、デカいしキモイな、今回の｣
『でしょ、大暴れしなくてよかった』
｢お前の悪魔相手じゃ抵抗する暇もないでしょ｣
『まーね、ってかこれ片付けるの手伝ってよ』
パシリにすんなよ、と文句を垂れながらも片付けを手伝ってくれるのは、同い年の現役高校生兼民間デビルハンターの吉田ヒロフミだ。
『蛸に食べさせないの？』
｢蛸がセミなんか食うかよ、
蛸に食わせるくらいだったらこいつ大海原に漂わせといたほうがマシだよ｣
『海の生き物なら自然環境大事にしなよ』
彼の契約する悪魔は蛸で、
私の契約する悪魔は大海原。
悪魔駆除の現場で知り合ってから約3ヶ月。
知っているのは契約する悪魔と通う高校くらいで、お互い特に詮索することも無い。
｢うし、片付け完了｣
『ここら辺も綺麗になったしこれで終わりだね、
ありがと』
｢じゃ、行きますかー、｣
現場が綺麗になったのを確認して歩き始める吉田を追いかけ、その隣を歩く。
悪魔駆除の際に会ったら、その後は必ずラーメン屋かファストフード店で悪魔の情報交換をするのが習慣になっている。
実際、ほとんどが他愛もない話で終わってしまうのが常だが。
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麦踏(プロフ) - せつなさん» せつなさんありがとうございます！！とっても嬉しいです；； (2021年3月29日 4時) (
レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - とても面白いです、、!! (2021年3月25日 19時) (レス) id: 7d809df817 (このIDを非表示/違反報告)
麦踏(プロフ) - あるみくさん» あるみくさんありがとうございます！！めちゃくちゃ嬉しいです；；亀更新ですがこれからもお読みいただければ幸いです！！！ (2020年12月24日 1時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - え…好きです←唐突。え…おもろ…飛びそうなくらい好きです。頑張ってください (2020年12月23日 23時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麦踏 | 作成日時：2020年12月18日 2時
