◆1 Prolog ページ1
学校から帰る途中だった。
確かその日は見たいテレビがあって、家路を急いでいたんだっけ。
脇目も振らず家までの道を走っていると、
いきなり身体が宙に浮かんで、コンクリートがみるみる遠ざかっていった。
巨大で不気味な手が私を捕らえていたのだった。
『ひっ.......』
てかてかと気味悪く艶めく粘着質な緑色の皮膚。
ゾッとするほどまん丸に見開かれた目。
大きな口。
カエルの悪魔だった。
大きな口が開き、その奥へ繋がる暗闇が姿を現す。
怖くて気持ち悪くて抵抗することも声を出すこともできず、私は暗闇に放り込まれた。
何も見えない、感じない。
何これ、私悪魔に食べられた...?
じっとりと汗ばんでいく落ち着きのない手をひたすら握りしめ、恐ろしさに苛まれつつも、脳みそは冷静に動き続けていた。
悪魔に関する事件はテレビでもよく見るけど、まさか自分が当事者になるとは。
ついてないなあ。
なにか悪いことしたかなわたし、
今日も学校頑張ったのにな〜、いつもは爆睡してる歴史の授業ちゃんと聞いてたし。
仏教の現世利益がどうたらこうたら、、、ん〜よく覚えてないや
.....念仏でも唱えれば誰か助けてくれるかな、
南無阿弥陀仏を唱えようとしたその瞬間、
目の前に光が一気に差し込んだ。
その眩しさにくらくらしつつも、いつもの通学路の光景と、目の前に大きな狐の頭を認識した。
そっか、デビルハンターさんが助けてくれたのかな。
念仏のおかげかな、授業聞いててよかったあ。
まだふらふらと意識の定まらない頭でそんなことを考えた。
私の身体は、極度の緊張からの解放や安堵からか全く動かない。
「大丈夫でしたか、」
いつの間にか男の人の顔が目の前にあった。
あ、テレビでよく見る服装。
公安のデビルハンターさんだ。
安心しきった脳みそと身体では頷くこともままならず私はぼーっとしていたが、男の人は質問を続けた。
「ここがどこか分かりますか、
ご自身のお名前、分かりますか?」
え、よく見たらめちゃくちゃイケメンさんだ。
カエルはすっごいキモかったけど、イケメンに助けてもらえたからオールオッケー。
やっぱ今日は授業寝なかったからかな。
いやー、マジでありがとう.....
『仏様.........』
イケメンの腕の中で目を閉じ、意識を失った。
「...........姫野先輩、自分のことを仏だと錯覚させる悪魔とかいましたっけ」
「アキくんついに頭おかしくなった?」
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麦踏(プロフ) - せつなさん» せつなさんありがとうございます!!とっても嬉しいです;; (2021年3月29日 4時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
せつな - とても面白いです、、!! (2021年3月25日 19時) (レス) id: 7d809df817 (このIDを非表示/違反報告)
麦踏(プロフ) - あるみくさん» あるみくさんありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです;;亀更新ですがこれからもお読みいただければ幸いです!!! (2020年12月24日 1時) (レス) id: b9c2e389f7 (このIDを非表示/違反報告)
あるみく - え…好きです←唐突。え…おもろ…飛びそうなくらい好きです。頑張ってください (2020年12月23日 23時) (レス) id: 8de5b8d706 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦踏 | 作成日時:2020年12月18日 2時