チェンソーウーマン・デンジちゃん ◆３◇ (ページ23)

今日:12 hit、昨日:8 hit、合計:14,841 hit

◇107.私が死んだときさ……泣いてほしいからページ23

No side
.

アキくんは泣くことができる

早川「......っ、う”...」

「ふぅ......あ？」

　早川にとどめを刺そうと刀を構えた男。しかし突然、刀の男の頭上に影が刺した。刀の男が空を見上げてみると、頭上にうす気味悪い女の顔が浮いている。その顔は長い花の首に繋がって、無数にある白い腕に繋がって地面を覆い隠していた。
　刀の男はその女の……ゴーストの無数に襲いかかってくる腕を刀で切り倒す。しかしあまりの本数に刀が追いつかなくなってゴーストに捕まってしまった。

「うっ……ああ…」

姫野「っ……」

　
デビルハンターは身近な死に慣れすぎて涙が出なくなる。

でもアキくんはすぐ泣く。

面倒見てた新人が死んだときなんかは、隠れて泣いていたから面白かった。

「うっぐうっ」

あれだけ思って泣いてもらえたら、

うれしいだろうな。

姫野「……」

　姫野は必死に震える手を前に突き出して男を捕まえる。だけどその腕も、ゴーストとの契約によって消えた。支えがなくなった白いシャツの腕の部分が、重力に従って地面に垂れる。

「おおっ、ぐっ…ああ」

早川「っ……」

「うっ…おい、助けろ！！」

　刀の男も、自らの首を締めてくるゴーストに怯んだのか、沢渡に助けを求めるも、沢渡はその状況を黙って見るだけで、助けようなんて言う素振りは見せなかった。

ねえ、アキくん。

＿＿ふわり。

　シャツの袖がまた舞った。また姫野の片腕が失われる。

私ね、アキくんのこと好きだったんだよ。

「ぐあああああああっ」

　男の額の刀がゴーストの額に刺さっても、ゴーストは痛みを感じない。どんどんと迫ってくるゴーストに、男は叫び声を上げた。

顔は……もちろん好きだったけど。

そういういつまでたっても “普通” のところとか

どこか私と似てて好きだったんだと思う。

　早川は捕まったまま身動きの取れていない男から、姫野に視線を移した。姫野はすでに息が荒くて、大量に出血していて……。

早川「は……」

姫野「アキくん…」

　姫野の下半身が一気に消える。
　早川はわかった。姫野が何をいいたいのかも、どうしてほしいのかも。だけど理解したくなかったんだ。

姫野「アキくんは死なないでね。私が死んだときさ…泣いてほしいから。」

私を想って泣いてほしい。

刹那＿＿

沢渡「蛇。丸呑み」

早川「！……ぁ」

花は散った。

.

作者から→←◇106.私の全部をあげるから、