◇98.かわいい ページ13
早川 side
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『このあと仕事だから、制服に着替えてくる』と言って自分の部屋に戻っていったデンジ。パワーも「ワシもそろそろ着替えるかの〜」と言ってニャーコを連れて部屋に帰ってしまった。そうすると必然的にリビングには俺と姫野先輩しかいないわけだ。
姫野「ねぇ、アキくーん」
早川「…なんですか」
姫野「私、センスいいでしょ」
「さっすが私ー!」と言って床に寝っ転がる姫野先輩。なんでいきなりその話になったのかはわからないが、「いいほうなんじゃないですか」と一応返すと、「アキくんの返事はなんか普通!もっとビシッって言ってほしい!」と姫野先輩はすねた。この人は立ち回りがうまいけど、その分親しい人たちの間では意外とマイペースになる。そしてその姫野先輩ペースに合わせないと後々拗ねるという、不思議な特徴を持ってる。とてもやっかいだ。
姫野「……アキくん。デンジちゃん、さっきかわいいって思ったでしょ」
早川「…」
「さっき、私達出迎えたときにデンジちゃん見て驚いたの知ってるよ。」と姫野先輩は言った。そして姫野先輩の厄介な特徴のもう一つ。それは姫野先輩は観察することが得意なことだ。それはイイことも、悪いことにも当てはまる。見ていないようで、意外にじっくり見ているんだ。この人は。
だから俺が少し驚いたことは見透かされてもしょうがないと思う。だけどかわいいとは思ってない。ただ、デンジがいつもと違う服を着てたから驚いただけだ。それに、ああいう女らしい服を着たがらなさそうだから大人しく着て帰ってくることに驚いただけだ。
姫野「…なんか、不機嫌って感じの顔してる」
早川「……」
姫野「ま、私が選んだ服だもん!可愛くて当然だよね〜」
「アキくんも、かっこよくコーディネートしてあげよっか?」と姫野先輩が言ってきたので「結構です」と断った。すると「つまんね」と姫野先輩はゴロっと、窓の外を見始めた。こっちは向いてない。
早川「……」
細い足、細い腰、細い腕。だけど出会った頃よりはまだマシになったように思える体つき。別に、似合ってないわけじゃないが、それ以上はなにも……
その時、ちょうどパワーとデンジが戻ってきたから、俺は考えを打ち切った。
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レゼ推し隊部長ヒスイ - 続きが気になります! (2023年1月27日 18時) (レス) @page7 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲一二三 | 作成日時:2023年1月23日 21時