◇96.邪魔だ、どけ ページ11
No side
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早川「……」
早川は苛ついていた。理由はわかるとおり、デンジが無断で外出したままずっと帰ってこないからだ。時刻はすでに13時を回っていていつもだったらお昼を食べる時間。パワーは「お腹が空いたから飯が早く食いたい」とぐだついてるけどニャーコを一緒にしとけば静になることをわかっている早川は、デンジが帰ってくるまで昼食を食べるつもりはなかった。
早川「(姫野先輩も姫野先輩だ。一応監視対象なのに、勝手に連れて帰るなんて)」
「(何かあったらどうするんだ)」と早川は思った。だけどそれを姫野に言ったところでひらりと返されてしまうだろう。あの人はちょっとつかめない、そういう人だ。といつものバディを思い浮かべなばらため息を付いた。そのとき。
__ピンポーン
人の心配の気もしれないで、陽気な音が玄関から聞こえてくる。パワーが「デンジの匂いじゃ」とニャーコとたわむれていた顔をあげる。やっとデンジが帰ってきたか、と思った早川は、監視対象が帰ってきた安堵と、苛立ちが増したようなよくわからないような感覚がした。
鉄製の玄関の扉を開けると目の前一面にあるバディの顔。それに、早川は呆れる。
姫野「やっほー!おっはようアキくん!」
早川「…姫野先輩、今度からは連れて帰るときは必ず俺に連絡入れてください」
姫野「許してよー、酔っ払った私がやったの。シラフじゃないもん」
「じゃ、おじゃましまーす!」と言ってズカズカと部屋に入っていく姫野を横目に、早川はデンジを見た。そして驚きを覚える。
パワー「悪くはないのぉ」
姫野「でっしょ〜?」
早川「!…」
いつの間にか早川の肩から顔を出していたパワーと姫野に早川は一瞬驚くも、それ以上にデンジの格好が昨日とは違っていて、しかもそれがデンジの着ることのなさそうな洋服なものだからすぐにその驚きは忘れてしまった。「それね、私が選んだんだよね〜、私センスいいでしょ」「ワシのほうがセンスいいのじゃ」と後ろで姫野とパワーが喋っているような気がするが、早川は少し放心状態だった。
だけどデンジは少し苛ついたような、恥じらったように「邪魔だ、どけ」なんていうもんだから早川は素直に道を開けた。だけど、数秒その場から動けずにいた。
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レゼ推し隊部長ヒスイ - 続きが気になります! (2023年1月27日 18時) (レス) @page7 id: d82d2213ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲一二三 | 作成日時:2023年1月23日 21時