◆6.初詣 ページ8
デンジ side
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『なぁ、さっきからなにしてんだよ』
姫野「着付けだよ、着付け〜」
マキマさんに報告書を提出したあと。いきなり現れた姫野がなんか私の腕を掴んでどっかの部屋に突っ込んだと思ったら服脱がされてよくわかんねぇ布を巻きつけられている。「血の魔人ちゃんも後で着付けますよ〜」って言ってるけど、まずきつけ(？)ってなんだ。
姫野「おっ、何してるかわかんねぇーって、いいたげな顔してるね。お正月はね。こうやっておきもの着たりして新年を祝うんだよ。今年は特異4課は全員有給で休みだからさ。」
『しょうがつぅ？』
姫野「ありゃ、まずそっからか。」
「正月っていうのはね、新年の始まり。今日から新しい一年が始まんのよ。」と姫野は私の腰によくわかんねぇー布を巻きながら言った。
『じゃぁ。なんで私はこの服に着替えさせられてんだよ。』
姫野「これから特異4課のみんなでお正月の初詣に行くからね。こういうめでたいときにはっ、こうしてっ、お物着るんだ、よっ！」
『うぐえっ』
腰の布を思いっきり締められて引っ張られた。苦しいっ、て言う前に姫野は「はいっ、これで完成っ！」って私の腰を叩いたから、バランス崩して床に倒れかけてそれどころじゃなかった。
「私も、今から着替えてくるからね。脱いじゃ駄目だよ！」といって部屋から出ていく姫野に、私は苦しい胸を抑えながらも睨んだ。意味わかんねぇ。んだよ、はつもうでって。
ヨレヨレしながら部屋を出て、壁伝いに廊下を歩く。くそっ、よくわかんねぇけど、そのはつもうでってやつ。苦しいから行かねぇぞ。
マキマ「あれ、デンジちゃん？」
『あっ、マキマさ…ん……』
ぜっっっってぇ行かねぇ。行ってたまるか。なんて、思ったけど目の前にいるマキマさんを見て、一瞬でその考えは吹き飛んだ。
ピンクの薄い色の、私と同じような服を着たマキマさん。いつも三編みしている髪の毛は頭の上の方で棒によって止められてて、いつもより……
『かわいい…』
マキマ「デンジちゃんも、かわいいよ」
「似合ってるね」って微笑まれてちょっとうれしくなった。
『マキマさんも…その、はつもうでってやつに行くんですか』
マキマ「うん。私も、今日は午後だけ有給とったからね。」
「デンジちゃん、一緒に行こうか」ってマキマさんが言って微笑んだから、私は思わず行きたくないはずなのに『ワン』と肯定してしまった。
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作者名：東雲一二三 | 作成日時：2022年12月25日 17時
