◆9.あんがとな ページ11
早川 side
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「ありがとうございましたー」
速やかに買い物を終わらせてデンジのところに向かう。先にどこかに行ってしまっていないことを祈りながらデンジを探すと…
『やめろって、暇なんじゃねぇよ』
「いいじゃん、連れはまだ来てないんだろ？」
デンジが男に絡まれているのを発見する。抵抗しているようだが男たちは引く様子がない。デンジがイライラしているのが遠くでもわかる。あいつが人を相手にイラツイても悪魔の力を使うことはないだろうが、相手は男だからどうなるかわからない。
「ほら、おいでよ。退屈はさせないぜ」
『うっせぇな、うぜぇんだよ！』
「…強気な子も好きだけど。…そろそろ、俺たちも拒まれると苛ついてくるんだよな…っ！」
『っ、わっ』
デンジの腕が男に掴まれて思いっきり引っ張られて、デンジがベンチから強制的に立たされる……その瞬間に、デンジを抱きとめるように庇う。抱きとめてみればわかる軽さ。こいつは悪魔を殺せる力を持っているが、ただタイマンで男を相手にできるほどの力はない。
早川「すみません、俺の連れがなにかしましたか？」
「………チッ、行くぞ」
睨みを効かせるようにすると、すぐに去っていく男たち。その様子を見たデンジは『やっと行ったぜ……』と男たちを睨んでいたが、その顔にはいつもの威勢がないように感じた。
『遅えよ。』
早川「悪かったな、店探すのに手こずったんだよ」
「足、見せろ」というと、デンジは着物をまくってベンチに座った。俺は汲んできたペットボトルの水をデンジの足に少しかける。
『っ、』
早川「…少し我慢しろ」
『…切られたりするのはなれてっけどさぁ……染みんのはやだよな』と言っているデンジの声を聞きながら、水をタオルで拭き取った。その後をガーゼの代わりに傷パットでその傷を覆う。
早川「他に怪我してるとこは」
『ねぇ』
早川「じゃあ行くぞ」
マキマさんたちに先に行ってもらってから結構時間がかかってしまった。そろそろ行かないと姫野先輩から心配の電話がかかってきてしまう。
デンジがベンチから立ち上がったのを確認して先を歩く。
『おい』
早川「なんだ」
『……あんがとな』
早川「あぁ………って、おい先行くな！」
後ろからそれを言う声が聞こえてきて振り向こうと思ったが、それより先にデンジが先に走っていってしまったから、俺は急いでデンジを追いかけた。
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作者名：東雲一二三 | 作成日時：2022年12月25日 17時
