【TP4】Friday nightに逢いましょう【ky】【uszw】

47.虎狼 ページ48

『貴方はいつ、亜未を見たの？』

リチャードはこちらを見ようとしない。

『昼間は、貴方は亜未を見ていないと言った筈。彼女が殺されていた事を報告はしたけど…真っ赤な下着姿だったとは伝えていないわ。それに貴方は、“あんな無惨な姿”とー』

言い終える前にわたしの体はふわりと浮き、ベッドに叩きつけられた。上に乗られ両肩を押さえつけられて身動きができない。口角を上げてニヤリと笑ったリチャードの顔は、月明かりの陰影でまるで悪魔のように見えた。

『君は亜未と違って頭もいいんだネ、A』

『…貴方が、亜未を…？…何故？貴方は、ジェイソンなの？』

『ハハハ。僕はジェイソンじゃないよ。Friday the 13thをプレイしてただけの只のカナダ人さ。亜未は…細くて、小さくて…愛情込めてハグしただけで、首が折れてしまった』

『…っ、』

目を細めてうっとりと語る悪魔の表情に、憤りと恐怖で身体を捩るがびくともしない。

『ジェイソンをプレイしていたのは、アメリカ人のブロンド女だったよ。ギャアギャア喚いて煩いし、ガタイがよくて…コロスのに手こずった』

楽しそうに顔を歪めて笑う。ジェイソンをやっていた女性も殺されていたなんて…恐怖を抑え込んでひたすら冷静なフリをする。

『…何故わたし達と合流したの？何故すぐ殺さなかった？』

『初めは1人ずつ殺るつもりだったヨ。でもオノでの一撃を避けられてしまった。2対1だったし、ここは仲間になっておこうと思ってネ。信頼を得る為にヒューズを直し、…そして壊した。ジェイソンが存在すると思わせる為にネ』

『日本人はホントにお人好しばかりだネ！仲間ゴッコも悪くなかったヨ。でも…ボクの目的は、キミダカラ』

『っ、いや…っぐ』

叫ぼうとしたところを口を塞がれる。ベロリ、と頬を舐められ全身が泡立つ。恐怖で涙が溢れてくると、悪魔は嬉しそうにそれも舐めた。

『ハハハ、なんてイイ顔をするんだ！素敵だよA、恐怖に怯え切ったその表情…』

恍惚とした顔で、リチャードはわたしの首に手を添えた。次第に酸素が薄くなる。…このままじゃ、殺される。震える両手を伸ばし、リチャードの両頬を優しく撫でた。悪魔は少し、戸惑った顔をした。

『…リチャード…わたしを殺すの？それならせめて、最後に貴方と愛し合いたい…もっと、わたしの体を触って…』

そう言って体を捩ると、彼は戸惑いながら首から手を離した。Tシャツを捲り上げるとわたしの体を舐めるように見る。わたしは彼の大きな背中に手を回し…



そして思いっきりナイフを突き立てた。


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