【TP4】Friday nightに逢いましょう【ky】【uszw】

17.ここはどこ？ ページ17

【Aside】



「…つっ…ああ」

頭が痛い。今日、雨なのかな。頭痛持ちのわたしは、頭痛で目覚める朝も少なくない。ああ、目を開けたくない…
湿気を帯びた埃っぽい匂い。寝返りを打って、仕方なく目を開ける。ぼやけた視界がクリアになっていく。

「…ん？」

え？どこ？ここ…少なくとも、わたしの部屋じゃない。そこは、一面茶色い板塀に囲まれた、山小屋のような部屋だった。

一瞬で、全身に緊張が走る。…これは、夢なの？
鮮明な夢を見る事は多々ある。夢の中で夢と自覚する事もある。でも、それらとは明らかに違う。これは、現実だ。

カラカラに乾いた喉を鳴らして、湿っぽいベッドから降りた。すぐ側の窓の外に目をやると、真っ暗だった。

もう、脳は考えることをやめている。軋む床を踏みしめながら、ドアの方へ歩く。
壁と同じ色のドアに、手をかける。無意識に目をギュッと瞑ったまま、ドアノブを引いた。

キィ…と小さな音を立てて、ドアは開いた。
外へ出るドアだと思ったが、そこには廊下があった。そして廊下の先は吹き抜けになっていて、階段が見えた。わたしは2階にいたようだ。

キシキシと音を立てながら、ゆっくり廊下を進む。
両隣に同じようなドアが並んでいて、中を覗くとさっきいた部屋と同じようなベッドとクローゼットとチェストが並んでいた。既に止まっている思考の片隅で、ぼんやりと学生の頃ホームステイした、アメリカの農家を思い出していた。

パチパチ…と言う小さな音がして階下を覗くと、暖炉が見えた。なんだか少し安心して、少し足早に階段を降りる。



「…っっ！！！」

大声を出しそうになるのをなんとか堪えた。何故なら暖炉の前に敷かれた絨毯の上には、

ーーー男性の死体があったから。


「うっ…」


恐怖で泣きそうになるのを堪えながら、死体の前にまわる。見た感じその男性は、血を流してはいなかった。しばらく葛藤したあと、男性のダラリと伸ばした手首に触れてみる。脈はない。…しかし、白いTシャツの胸が僅かに上下したような気がして、恐る恐る左胸に耳を当てた。


…ドク、ドク、ドク…


「！！生きて、る…？」

自分でも驚くほど掠れた声が出たと思ったら、ガバッ！！と抱き寄せられ、バランスを崩して男性の上に覆い被さる形になった。


「いやっ、」

びっくりして離れようとすると、男性の目がゆっくりと開いてこちらを見た。そして、


「うわあっ！！」

男性が飛び起き、わたしは跳ね飛ばされた。



「誰、あんた？」

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