深澤先輩、あのね、 (ページ8)

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34話ページ8

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個人練習に入ると、私のもとに瀬奈がトコトコとやってきた。

瀬「…ちゃんと言えた？」

「うん、言えた。瀬奈のおかげだよ、ありがとう」

瀬「んふ～、どういたしまして！」

得意げに笑う瀬奈。

背中を押してくれた瀬奈。

私、友達に恵まれてるなぁ、としみじみ思う。

瀬「良かったね、ほんと。あとは…深澤先輩か」

「…そう、だね」

瀬「諦めないよね？」

確認作業のように見つめられたけど、すぐには首を縦に振ることは出来なかった。

やっぱり、それなりにショックが大きかったから。

瀬「だって告白、まだちゃんとしてないんでしょ？そこハッキリしないと、辛いまんまだよ」

背けちゃいけない現実に向き合わせてくれる瀬奈。

瀬「女なら、当たって砕けろ！」

「砕けたくはないのですが…」

応援してるんだかそうじゃないんだか。

ごめんごめんと謝る瀬奈。

だけど、そうだよね。
いつまでも、ただの後輩じゃ嫌だ。

まだ、先輩に見合うダンサーにはなれてないけど。

先輩には、好きな人がいるけど。

こんな気持ちのままじゃ、なにもいい方向に進まない気がする。

なら、言うしかない。

たとえ返事が決まってる告白だったとしても、伝えることに意味があるのなら、きっとするべきなんだ。

「瀬奈、私言うよ」

靴紐を結び直して宣言する。

瀬「それでこそA」

瀬奈は笑って、痛いくらい背中を叩いてパワーを注入してくれた。