6日目 ページ20
週明けの月曜日。
重たい体を引きずって会社に行く。
満員電車に押し潰されながら考えるのは、今日のお弁当の中身。
不思議なもので、このあと楽しみがあるとなんだか今の辛さも我慢出来る気がしてくるのだ。
・
・
・
12時27分
「水野先輩、さっき営業の宮舘さんからこれ渡してくれって頼まれたんですけど…」
「え、宮舘？なんだろ…ありがとう」
「水野先輩と宮舘さんって確か同期でしたよね？部署違っても交流あるんですね〜」
「まあ、ね」
曖昧な返事で流して、西崎から紙袋を受け取った。
中には保冷バックに入ったお弁当がある。
それに、私がいつも買ってるお茶まで…
中身を確認してると、スマホがメールを受信して震えた。
宮舘からだった。
〈ごめん、急な会議で一緒に食べれなくなった。西崎さんに渡しておいたからよろしくね〉
なるほど、と納得した。
そう言えばこれまでも毎日お昼を一緒に過ごすことはなかった。
当然といえば当然か。
うちも忙しいなら、営業の宮舘だって忙しいはずだ。
それが先週はたまたま連続して時間が合っただけで…
私は急いで返信した。
〈受け取ったよ、ありがとう。会議、頑張って〉
ふぅ、と一息つくとまた手の中のスマホが振動する。
〈ありがと。水野も無理しすぎないように〉
「だから…宮ちゃんは私のお母さんですかっての」
思わず笑いが溢れる。
まだいつもの時間より早いけれど、ちょうどいいしもう今からお昼にしてしまおう。
私は西崎に席を離れることを伝えて休憩室へ向かった。
休憩室は、ほとんどの席が社員たちで埋まっており、私の特等席も知らない誰かに座られてしまっていた。
そうだった、最近は時間をずらしていたのを忘れていた。
仕方ないので使用予約の入っていない小会議室で食べることにする。
テーブルと椅子があるだけの殺風景な部屋で食べるお弁当は、いつも通り美味しかったのだけれど、なんだか物足りない気がしてしまう。
部屋が違うから？
1人で食べてるから？
いやでも今までだって1人で食べることはあった。
それじゃあ…宮舘がいないから？
「うん、それはない。ないない」
独り言は虚しく部屋に響いて、私を余計悲しくさせた。
なんだよ、今日のお礼はいらないのかよ…。
その日のお昼は30分で終わり、すぐに仕事へと戻った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chaco(プロフ) - ゆーさん» コメントありがとうございます（ ; ; ）そう言って頂けてほんとに嬉しいです！モチベ上がります！更新気長に待って貰えると嬉しいです…！ (2020年7月5日 11時) (
レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - この作品大好きです！更新楽しみに待ってます！ (2020年7月5日 9時) (レス) id: e5c4ac2d18 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - まり姉さん» コメント文字数だと説明しきれないので、「はじめに」という説明を追加しましたのでそちらを確認して頂けますと幸いです。紛らわしくて申し訳ございませんでした。 (2020年6月20日 11時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
まり姉(プロフ) - 8日目の次が13日目になってますが・・・ (2020年6月20日 3時) (レス) id: 632dd79117 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はるにゃさん» 初めまして！嬉しいお言葉をありがとうございます（ ; ; ）涼太くんの可愛さが伝わって嬉しいです〜！更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします！ (2020年6月16日 21時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スゴイピーマン | 作成日時：2020年6月3日 22時
