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「こ、ここですか宮ちゃん…」
「うん。あっイタリアン苦手だった?」
「苦手というか…初めて来た…」
「えっ、ほんとに?」
驚くのも無理はない。
いや、というか察して欲しいよ、逆に。
毎日メロンパンとラーメンで良いと思ってる女が、こんなお洒落なお店に来るわけないじゃん…
貴方はとってもお似合いですけども…
店の前で立ち止まる私の手を取り、「じゃあ初めての経験だ」と嬉しそうに中へとエスコートする宮舘は、まるでどこかの貴族みたいで。
私は不釣り合いの庶民だ。
なんだよ、ここに来ると知ってたらパンプスくらい履いて…いや、持ってなかった。
どっちにしろ浮いてしまうや、私じゃ。
悲しい気持ちのまま流れるように案内される店内は、薄暗い照明がムードある洋風のデザインで、食事をするお客さんもおめかしをした女性客が多い印象だ。
若い女性やカップルの姿を見て、今日が休日だったことを思い出した。
用意されたテーブルに向かい合わせで座る。
受け取ったメニューは横文字ばかりで、何がなんだかよく分からない。
英語?英語なの?
「どうする?お腹空いてるよね、何が食べたい?」
困った私に助け舟を出すように聞いてくれる宮舘。
今この瞬間、私には君しか頼れる人がいないよ…!
「空いてる。宮舘とおんなじやつでいい」
「苦手な食べ物は…ないんだっけ。じゃあランチのコース頼もうか」
「うん、お願いします」
「ふふっ、なんで敬語?」
小さくお辞儀する私がおかしいのか、クスクス笑う宮舘をキッと睨みつけることしか出来ない。
慣れた感じで店員さんに注文を言う宮舘は、なんだか少しかっこよく見えるのは知らない場所にいるからだろうか。
それとも、いつもと髪型が違うせいか。
置かれた水に手を伸ばし、ゴクゴクと緊張感も一緒に飲み込んだ。
「宮舘はこのお店よく来るの?」
「うん、得意先の人がここ紹介してくれてさ。会社にも近いからよくディナーにね」
「でぃなー」
普通に夕飯で良くない?と思うのだけど、おしゃれな人間はみんなきっとそう言うものなんだろう。
……ということは、私の"ディナー"はラーメンになるのか。
頭に思い浮かべたおっちゃんと深澤の顔は、どうにも"ディナー"と結びつかなかったけれど、笑ってる2人を思い出したらちょっと安心した。
…ああ、また今夜も行っちゃおうかな。
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chaco(プロフ) - ゆーさん» コメントありがとうございます( ; ; )そう言って頂けてほんとに嬉しいです!モチベ上がります!更新気長に待って貰えると嬉しいです…! (2020年7月5日 11時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - この作品大好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月5日 9時) (レス) id: e5c4ac2d18 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - まり姉さん» コメント文字数だと説明しきれないので、「はじめに」という説明を追加しましたのでそちらを確認して頂けますと幸いです。紛らわしくて申し訳ございませんでした。 (2020年6月20日 11時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
まり姉(プロフ) - 8日目の次が13日目になってますが・・・ (2020年6月20日 3時) (レス) id: 632dd79117 (このIDを非表示/違反報告)
chaco(プロフ) - はるにゃさん» 初めまして!嬉しいお言葉をありがとうございます( ; ; )涼太くんの可愛さが伝わって嬉しいです〜!更新頑張りますのでこれからも宜しくお願いします! (2020年6月16日 21時) (レス) id: c6e12b87e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スゴイピーマン | 作成日時:2020年6月3日 22時