腹が減ってはなんとやら【雪赤】

13日目 ページ29

憂鬱な月曜日の朝。

電車に揺られながら、昨日の夜届いたメールを飽きずに確認してしまう。


〈仕事落ち着いたから、明日からまたお昼よろしくね〉


たった一文。
ほんとにこれだけなのに何度も何度も開いてしまうのは、最後に会った先週の水曜日。

意味深な台詞と頭ポンポンとかいうイケメンなことを残して行ったあの同期のせいだ。

私はもう味を感じれなくなったお弁当を食べて仕事に戻り、それはもう一心不乱にパソコンに向き合った。
忙しければ考えなくて済むと思ったから。

だけど仕事が終わればまたすぐあの笑顔とか、名前呼びのことを思い出して1人年甲斐もなく悶えてしまう。

まだ、自分の気持ちの整理がついてないのが正直なところだ。
そして、宮舘の本心も。

聞きたいような聞きたくないような、聞くなら今日しかないような…。

ガラスに映る自分の顔は、かなり疲れ切った顔をしていた。

久しぶりのこの感覚に、心がまだ追いつかない。


・


「水野先輩おはようございます。今日は宮舘さん来られませんでしたけど…」

「おはよ。あとで直接貰うから大丈夫、ありがと」


西崎が伺うような目でこちらを見るので、安心させるためにも普通に答えただけなのだけど。

心配顔から見る見るふやけた顔に変わっていく後輩。


「……へへ」

「…なに」

「水野先輩、ご報告お待ちしてますね♪」

「私は西崎にふった仕事終了の報告を待ってるよ」


無言で自分の席に向き直る西崎にやれやれとため息をつく。
デスクは土曜日に会社を出たあとのままの状態だった。


1週間ぶりに宮舘とお昼を食べる。

その事実に胸がムズムズするのを無視して、私はメールチェックから始めた。

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