永久の契りを共に-sha ページ12
数日間家を空けると言い、彼が私に預けた屋敷中の部屋の鍵束。
その内の一本、金色に輝く鍵は絶対に開けてはいけないと言われた地下室のもの。
ただの好奇心だった。
錆び付いた鍵穴に、金色の鍵を差し込んで＿＿
カチャッ
「なぁ、聞いとるんやけど」
背中には固く冷たい壁。目の前には私を挟んで壁に肘を当てる恋人。彼の表情はいつもの無邪気な笑顔ではなく、細められた黄色い瞳は恐ろしく冷たい。
「俺がAに預ける前は、こんな赤いのついとらんかったと思うけど」
彼は赤い何かがついた金色の鍵をこちらに見せつけるように持つ。
「見たんやろ？……この鍵の部屋、絶対入るなって言ったよな？なぁ！！」
初めて聞く彼の怒鳴り声に大きく肩が震えた。勢いよく腕を引かれ、今度は床に押し倒される。視界の隅で彼が落とした血のついた鍵を捉え、あの部屋の記憶が繊細に甦る。彼は私の上に馬乗りになり、どこからか取り出した短剣を向けた。
「あーあ、残念やなぁ。俺、Aのこと大好きやったのに……」
『ねぇシャオロン、やめて。なんでこんな……』
「だってこうでもせぇへんと、皆俺を置いてってまうやん」
『置いてかないよ！誰もシャオロンを置いてかない、だから……！』
「嘘や！！皆そうや……あの部屋見た後、俺を化け物でも見るような目で見て、逃げ出して……Aもそうなんやろ！？」
彼は眉を下げて悲しげに笑う。
「好きや、Aが大好き。だから……ここにいてや」
そう言って大きく振り上げられる短剣。
『やだ……ッ！！』
目を固く瞑り、襲ってくるであろう痛みを待つ。
ポタリと、頬に冷たい物が落ちる。いつまでたっても短剣を刺されたような痛みはなく、私は恐る恐る目を開ける。そして、大きく目を見開いた。
『……ッ！』
短剣を振り上げたまま動かない彼、その黄色い瞳から溢れる大粒の涙。それらは私の頬を伝い、床に透明な染みを作った。
『シャオ、ロン……？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
でふぉ - すごく好きです。好きな作者さんばかりで、もっと早く読めばよかったと悔やんでおります。皆さん口調に違和感がなくて、入り込みやすくて好きです。ドキドキしたり、涙腺が少し潤んだりして、とても面白かったです。ありがとうございます。長文失礼しました。 (2019年8月22日 17時) (
レス) id: edb0d1df06 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
