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『はぁ…は…間に合わなかっ、た…』

ドラマロケが終わってお相手役の俳優さんにしつこく付き纏われていたのをいなして、マネオッパに法定速度ギリギリアウトなくらい飛ばしてもらって高尺まで来たのに。車を降りてからはいつぶりかわからないくらいひさしぶりの全力疾走をしたのに。

ドーム前に着いた時には、丁度公演を見終わったであろうSTAYたちが…皆一様に晴れやかな顔で出てきだしたところだった。そっと人気の少ない道へ進路を変える。

あの俳優さん…さんもいらないか。あの顔だけ俳優さえ大人しくしていれば、ていうかそもそもあいつが台詞をきちんと覚えてくれば最後の挨拶どころか最初から見れたかもしれないのに。わたしと交友を深める(なんだそれ)つもりがあるならまずは台詞を覚えてきてほしいものだ。

一瞬だけでも、彼らが目標にしてた場所に立ってるところ…見たかったのに。これから何度も立てるとしても、二日目だとしても。

『あーもう…帰ろ』

タクシーを呼ぼうとアプリを立ち上げたところでクリスから電話がかかってきた。撮影終わったから間に合わないかもだけど向かうって連絡しちゃったもんね…。…出づらい。

『もしもし?』

BC「A?今どこにいる?」

『ごめん、ドームの前までは来たんだけど間に合わなくて…これからタクシー捕まえるとこ』

BC「なんで、ダメだよ。僕らも出なきゃだけどまだ時間あるから、そこまで来てるならXXゲートまで来て」

『え、いや…』

BC「待ってるから、XXゲートね」

そう言って電話は切れてしまった。珍しい。いつもはわたしの意思を最優先してゆっくり話聞いてくれるのに。…間に合わなかったの、怒ってる?いや、そんなひとじゃないけど。うん、そんなひとじゃない。わたしが間に合わなかったのにがっかりしてちゃだめだ。


BC「A!」

『おつかれさま!ごめん、間に合わなくて…』

BC「ンー…見てもらえなかったのは残念だったけど来ようとしてくれただけで嬉しいよ。帰ろうとしてたのはちょっと怒ってるけど」

『…ごめんね』

BC「うん、もうしないね?」

『…うん』

BC「よし、楽屋行こう。皆待ってる」

『楽しかった?』

BC「最高だったよ、最初に出た時にね…」



LK「ヤーヤー間に合わなかったってぇ?」

FL「ヌナロケから直接来てくれたんだよね?しょうがないってわかってるけど…見てほしかったなぁ…」

『うぅ…ごめんね…わたしも見たかったよぉ…!』

CB「…東京は2日とも来れるんでしょ?」

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作者名:c | 作成日時:2024年1月1日 1時

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