Peach! (ページ9)

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車に戻ってきたマネージャーから、彼が別れることを承諾したことを伝えられた。今後連絡をしないことも約束させてくれたらしい。

何を言ったの…？と思ったが正直ありがたい。わたしとユキにとっては父のような存在だったが、芸能界では俺はなかなかの顔なんだぞと言っていたことにようやく納得ができた。あれ嘘じゃなかったんだな…。ともかくこれで安心して仕事ができる。

それからもハードなスケジュールは続き、薄情かもしれないがそのまま彼のことを思い出すことはなかった。

怒涛のドラマ撮影、バラエティ出演、CM撮影を終えひさしぶりに連休が取れた時にふと見たテレビに出ていた彼を見てようやく当時のことを思い出した。1年も経って。

相方さんが彼の暴露話として元彼女を束縛してしまい振られたという話をしている。一般女性とのことというテイにしてくれているしお笑い的にかなり盛られているがわたしのことだ。

彼からもう連絡は来ないし、こちらからすることもない。けれど、憎んでいるわけではない。元気そうな顔を見で安心した。また少しずつテレビ出演も増えているようだ。よかった…。

思えば当時のわたしは余裕がなかった。彼の不安に気付かず、忙しさにかまけて冷たい態度を取ってしまっていたかもしれない。彼がああなったのは彼のせいだけど…それでも原因はわたしではないか。

先ほど彼が出演していた番組は終わり、ニュース番組で野球選手とモデルさんの結婚が報じられている。

誰かと関係を築いて、一生一緒にいるって決めたんだな…みんな、すごいな…。

あれから別の人と付き合うこともなかったしときめきももうかなり遠い記憶だけれど、わたしには恋愛は…。

そうして作った歌が、バンチャンが気に入ってくれているというwaterlilyだ。Peach!解散後、Aとしてリリースした曲の中で1番のヒットを記録したバラード。

waterlily、つまり睡蓮の花言葉には［清純な心］［信頼］［無垢］［愛情］［信仰］などの他に、あまりメジャーではないが［遠ざかった愛］がある。

誰にも言っていないがwaterlilyは［遠ざかった愛］の曲だ。

JxPと契約前に会食をした際に日本で有名なプロデューサーからJxPとしては日本での芸能活動歴もある私に対しては恋愛禁止期間を設けるつもりはない、変な相手でなければ反対はしないと説明された。

隠すつもりではなく、何もないし今後もないと伝えると少し困ったように何かあったら相談してと微笑まれた。