57.温度差 ページ44
発表はどんどん進んでいく。
それは波乱の連続だった。
今まで圏外だった者がいきなりランクアップしていたり、20位も爆上げしている練習生もいた。
現実は小説より奇なり。
もう先週に何位だったかなんて関係なかった。
すばるやリティなど、何人かの女子練習生も呼ばれてステージへと上がっている。
少しずつではあるが、彼女たちの票数も増えてきた。
「続いては、デビュー圏内、12位以上の発表です」
また一段とピリリと空気が締まる。
これから発表される12人が、現時点では最もデビューに近い12人となる。
皆がこの12人を追うのだ。
「それでは、12位の発表です」
矢部が12位の練習生の特徴を連ねる。
それを練習生たちは真剣に聞き入った。
発表されたのは。
「安藤誠明」
みんなに祝福され、ステージへと歩いていく安藤を東雲もまた拍手を送りながら見つめていた。
彼が近くまで来ると歩み寄り、ハグをする。
安藤の逞しい腕がすっぽりと東雲を包んだ。
「先、行っとるけん」
「うん」
その心境は落ち着いていた。
緊張することも焦ることもなく、静かにこの空間に身を委ねる。
良く言えば穏やかな人柄。
悪く言えば、物事に関心がない。
人に興味を持った方がいい。
先日すばるに言われたこの言葉は、案外的を得ているのかもしれない。
「続いて、8位の発表です。……動くお人形と称されるその完璧な容姿と確かな実力で、高い順位を確固たるものにしています。…………美澄東雲」
拍手が響き渡る。
それに笑顔で応え、ゆっくりと進む。
共にテーマ曲でセンターを務めた川尻としっかり抱き合った。
「ランクアップおめでと」
「ふふ、ありがとう。蓮くんも、1位なれるよう祈っとく」
「もう結果でちゃってるけどね？」
「まぁそうなんやけどね？」
ぽん、と川尻に背中を押されピラミッドへと歩みを進める。
ゆらとルリが、東雲を嫉しいというより恨めしいというように睨みつけている。
そんな視線を受けても、東雲はいつも通り微笑んでいた。
「いつもはふわふわとしている雰囲気がありますがタマシイレボリューションではパワフルな歌声とセクシーな衣装でギャップを見せつけてランクアップです」
こつりとローファーのヒールを鳴らしステージへと登る。
崩れることのない表情。
完璧な所作。
お手本のような感謝の言葉。
どこまでも美しく隙がない。
その姿は、どこか無機質で、少し恐ろしかった。
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chia(プロフ) - かんなさん» ワクワクしていただいてめちゃめちゃ嬉しいです(TT)嬉しすぎて更新頻度上がってしまいました笑。とうとうら3もできたので、またチェックしてみてください！ (2020年10月2日 23時) (
レス) id: 4602b620e0 (このIDを非表示/違反報告)
かんな(プロフ) - 毎日更新されてるかな？？ってワクワクドキドキしています！まだ半分すぎていないのがすごく嬉しいです！！まだまだchiaさんのお話しを読めると思うとすごく楽しみです！ (2020年9月30日 17時) (レス) id: 7ce509c806 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - たなかさん» めちゃめちゃ嬉しいお言葉ありがとうございます…！誤字ございましたか…！すみません、修正できるように読み直してきます……！報告ありがとうござました(^^) (2020年9月30日 14時) (レス) id: 4602b620e0 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - rikoさん» ありがとうございます！完結まではまだ半分もいってないですが、最後まで頑張るので楽しんでいただければと思います！ (2020年9月30日 14時) (レス) id: 4602b620e0 (このIDを非表示/違反報告)
たなか - 面白すぎて一気に読んでしまった……心情表現？がとてもわかりやすくて、心に刺さる感じが心地よかったです。ただ所々誤字があるのがとても残念です〜〜、、、、 (2020年9月28日 1時) (レス) id: 61583c7b25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chia | 作成日時：2020年3月18日 0時
