76.嫉妬の行き着く先 ページ12
安藤の顔は、固かった。
少女とAの間に出した腕は依然としてそこにあり、Aを守るかのように自分自身が盾となって少女からAを隠した。
「これ以上騒ぐと、警察呼びますよ」
続いた声はすぐ隣から聞こえる。
それは金城の声で、Aの肩を抱き下がらせた本人だった。
振り向けばBO組が険しい顔をして立っていた。
ホテルの出入り口はここだけ。
練習に向かおうとしていたところ、鉢合わせてしまったようだ。
「と、ともくん………!」
少女は、急に声のトーンを変えた。
頬は少しチーク以上に赤らみ、瞳がきらきらと輝きだした。
「ともくん、あの、私、ともくんが1pickで……!」
「え?あ、いや、ありがとう、ございます。でも、あの…Aに、なんかかけたのって……」
突然の告白に安藤は動揺を隠せないでいた。
今のこのタイミングで、自分のファンだとわかってもどうしたらいいのか分からない。
目の前にいるのは女の子。
優しい安藤は、あまり強く言えないでいた。
「私がやりました!だってともくん、夢のためにすっごく頑張ってるのに、あいつが色目使ってくるから……!」
「いや、そんなことされてないし……」
「あいつのこと庇うんですか?なんで?!」
少女はもう普通の精神状態ではなかった。
興奮して、ぐ、と拳を強く握りしめ、恋する瞳で安藤を見つめ憎々しげにAを睨みつける。
「Aちゃん大丈夫?うわ、これ、もしかして牛乳?」
安藤の後ろでは、大澤が練習中に使うためのタオルを出して、顔や髪に滴る牛乳を拭ってくれる。
ヒチョンと與那城はスタッフを呼んでこよう、などと話をしており、佐野は注意深く安藤と少女の様子を伺っていた。
何かあったら、すぐに対応できるように。
「ありがとう。でも、今は大丈夫」
「へ?」
大澤の手を取って彼の動きを止め、金城からやんわりと離れる。
くるりと彼らに背を向け、安藤と少女の間に割って入った。
「あ、ちょ、A!危ないから下がっとき、」
「大丈夫」
「大丈夫じゃ……」
何とか自分の後ろに下げようと握られた手を、Aは振り払った。
安藤は驚いてAを見つめる。
「かばってくれるのは嬉しいよ。……でもね」
ここでAは大きく息をついた。
心配そうに見つめてくるBO組をぐるりと見渡す。
「女の喧嘩に男が入ってきたら余計ややこしくなるだけだからまじで黙ってて!」
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chia(プロフ) - くまさん» くまさん!いつもコメントありがとうございます!かなり励みになっております……!S2も終わりかけてるのにまだS1完結してないですが、必ず完結させるので最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年6月4日 21時) (レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみにしてました:(^^)BO組尊い…とも尊い… (2021年4月30日 8時) (レス) id: ff03694f37 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - わー!!更新嬉しすぎます!ともとの絡み、やすぽんの最適なタイミングの登場最高です(*^o^*) (2021年3月6日 6時) (レス) id: 05901fdeb9 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - くまさん» コメントありがとうごさいます!返信遅れてすみません……!もうバレてしまってるかと思いますが、ゴリゴリのよなともるき推しでして笑。今後も彼らには頑張ってもらおうと思ってます! (2020年12月3日 22時) (レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - rikoさん» コメントありがとうございます!返信遅れてごめんなさい……!最近このお話は更新できてなくてすみません……。こちらの方もしっかりと最後まで書き上げるつもりなので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです! (2020年12月3日 22時) (レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chia | 作成日時:2020年6月16日 1時