68.見つめる先 ページ1
「好きだよ」
自分でも驚くほど、すんなりと言葉が出てきた。
與那城はそれがくすぐったくて、なんだか嬉しかった。
「Aはトレーナーだって分かってるけど、それでも好きになっちゃったんだ」
少し細められた與那城の瞳はひどく優しくて。
その穏やかな視線の先で柔らかく笑うAは、こちらの事など気付いてもいなかった。
それでもいい。
だって、彼女の隣には……。
「ま、所詮は叶わない恋なんだけどさ」
困ったように笑う與那城は、少しつり上がっている猫目の目尻を少し下げた。
白岩もまたつられて笑う。
「ともとAは……お互い想い合ってるし。俺の入る隙なんてないし、入る気もないよ」
彼女の隣にはいつも安藤がいた。
彼女が幸せそうに笑いかける先は、いつだって安藤だ。
そう痛いほど認識しているのに、悔しい気持ちを押し殺す事は驚くほど簡単だった。
「ともには敵わないし…何より安心して任せられる。……なんて、何様って感じだけど」
そう言って與那城は、うわー、俺何急に語ってんだろ、なんて言いながら照れたように笑った。
そんな彼の隣で白岩は大きく息を吐き、んん、と伸びをした。
「奨くん、意外と健気ですね」
「あのなぁ、意外とってなによ」
「いいじゃないですか。だって俺ら、」
くるりと、白岩が與那城と目線を合わせた。
そしてニヤリと口角が上がったニヒルな笑みを浮かべる。
「失恋仲間なんだし」
さらっと。
なんでもないと言うように言ってのけた白岩に、與那城は目をまん丸にさせた。
口をパクパクと開いては閉じてを繰り返す。
「え、ま、はぁ？！瑠姫もAの事好きだったの？！」
「ちょ、声でかい！」
驚きのあまりごりごりに沖縄のイントネーションが出てしまった與那城の口を慌てて塞ぐ。
「だ、だってびっくりして…。瑠姫って元々アイドルやってたから、恋愛系には厳しいイメージだったし」
「ん〜まぁ、そうですね。俺もAを好きになったのびっくりしてる。でも、恋は理屈じゃないなぁって。思いました」
「………王子様だな」
「……本当の王子なら、よかったんですけどね」
再びAに視線を向ける。
彼女が視界に入るだけで頬が緩んでしまう。
まさか自分が。それもオーディション中に。
しかし、それでも抑えられないほど恋い焦がれた。
「……俺も、奨くんと一緒。ともくんには絶対に敵わない。あんな誠実で真っ直ぐな人いないもん」
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chia(プロフ) - くまさん» くまさん！いつもコメントありがとうございます！かなり励みになっております……！S2も終わりかけてるのにまだS1完結してないですが、必ず完結させるので最後までお付き合いいただけると嬉しいです！ (2021年6月4日 21時) (
レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - 更新ありがとうございます！楽しみにしてました:(^^)BO組尊い…とも尊い… (2021年4月30日 8時) (レス) id: ff03694f37 (このIDを非表示/違反報告)
くま(プロフ) - わー！！更新嬉しすぎます！ともとの絡み、やすぽんの最適なタイミングの登場最高です(*^o^*) (2021年3月6日 6時) (レス) id: 05901fdeb9 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - くまさん» コメントありがとうごさいます！返信遅れてすみません……！もうバレてしまってるかと思いますが、ゴリゴリのよなともるき推しでして笑。今後も彼らには頑張ってもらおうと思ってます！ (2020年12月3日 22時) (レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
chia(プロフ) - rikoさん» コメントありがとうございます！返信遅れてごめんなさい……！最近このお話は更新できてなくてすみません……。こちらの方もしっかりと最後まで書き上げるつもりなので、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです！ (2020年12月3日 22時) (レス) id: 6a7a25a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chia | 作成日時：2020年6月16日 1時
