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「せんせい、」
深「ん?」
「ごめんなさい」
深「え?なに?なにが?」
せんせいが少し慌てて、そしてじろっとなべさんを見る。「俺はなんもしてねーよ!」となべさんが不貞腐れて言う。
深「なに?なにがごめんなさい?」
「....ううん、なんでもない」
深「なべ」
渡「....俺もなんのごめんなさいか知らねーけど。
家庭教師じゃない日に会ってしまってってことじゃね?」
なべさんもなかなかの察知力がある。
わたしがわかりやすいのかな?
「まぁ俺が無理矢理連れてきたから。公園にいてこいつは会おうとしたんじゃねーよ。」となべさんが言う。
深「それがごめんなさいなの?」
「.......」
肯定するのがなにか恥ずかしくて、首だけを縦に振る。
深「よかった...」
「....え?」
深「いや、いいよ....
俺は嬉しいよ?会いにきてくれるのは。だけど、ここ隣町だろ?こんな遠いとこまでひとりは危ないよ。
今日はなべでよかったけど。知らないおじさんにこんな風に連れてかれたらどうする?」
渡「俺はおぢさんじゃねーよ」
「う、ん、ごめんなさい、せんせい」
深「わかればよし。会いにきてくれてありがとね?
....一緒に帰ろっか」
「.....いいの?」
「ふっかー!どうすんの!?合コン!!」
遠くからさっきの女の人がせんせいを呼ぶ。
深「....あー、やっぱ俺用事ある!なべは行けるって!」
渡「は!?」
「しょーた来んの?!べつにどっちでもいいけど!」
渡「....ふかざわ、覚えとけよ」
深「ごめんて、今度奢るわ」
なべさんがせんせいを「ふかざわ」と呼んだのをはじめて聞いたとぼーっと考えてると、わたしの左手にはせんせいの右手が重なった。
深「かえろ。」
「せんせい、」
深「ん?」
「...水たまり危ない」
深「おっと、サンキュー」
手を繋ぎながら器用に水たまりを避けるせんせい。
そして、鼻歌をうたうせんせい。
なべさんの手は冷たくて、離さないようにぎゅっと握ってくれた。
せんせいの手はあたたかくて、少ししたら離れるようにふわっと包む。
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「翔太!ふっかいた?」
渡「いたよ。それはもう解決済みだよ。」
「はにゃ?なに怒ってんの?」
渡「興味ねえ合コンにこっちは付き合わされんだよ。」
「えー?いいじゃん。女の子」
渡「てことで、おまえも付き合え。佐久間」
佐「は?ちょ!首絞めないで!!」
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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます!私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす! (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきゃつき | 作成日時:2023年3月3日 18時