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隣町には、ひとりで来たことは1回ある。
そのときは、迷子になってしまった。
公園のベンチで1人うずくまり泣いた。
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「A！」
日が沈んだ時間、お母さんの声が聞こえた。
ひどく、やつれた表情のお母さんだった。
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「ここが、大学？」
渡「そう。あーちょい待って。電話するわ」
そう言ってなべさんは、わたしの右手を掴んだまま右手でスマホを触った。
渡「あーもしもし？ふっか今どこいるか知ってる？」
渡「は？つかまった？早く連れてこいよおまえが」
渡「いいから！待ってんだって」
どうやら、せんせいに直接電話してるわけではないらしい。
「しょーた、その子誰なのー？？」
渡「知り合いの子！うっせ指差すな早く帰れ！」
大学の正門で手を繋いでいるせいか、授業終わりの人たちにジロジロと見られる。
わたしと手を繋ぎながら、電話しながら、話しかけられながら、なべさんは器用らしい。
渡「え、今正門向かってるって？おっけ、つかまえるわ」
「あ」
渡「ん？いた？」
あの黒色の髪の毛、少しの猫背、左の方が大きい目。
いつもとは雰囲気が違う。
「せんせいだ...！」
渡「大声で呼んであげたら？」
なべさんにそう言われ、近づいてきたせんせいを呼ぼうとした。
その時だった。
「ふっか！今日時間ある？」
大学生の女の人が、せんせいに話しかけた。
せんせいの腕を触った。
深「おん、あるけど？」
「合コン数合わせできてよ。1人空いてさ。ふっかいたら盛り上がるし！」
深「合コン？」
渡「ふっか！」
せんせいは人気者らしい。
せんせいがなべさんの方向に目を向けた。それは同時にわたしにも気づくわけで。
無表情のせんせいが、少し困った顔をした。
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あ
めいわくだったかな。
せんせいは、女の人にごめんという会釈をしながら、こっちへきた。
深「なべ、なんで連れてきてんのよ？」
渡「ちげーよ。たまたま会ったからついでだよ」
深「どこでよ？ここ遠いのに」
渡「近くの公園にいたんだよ」
せんせいは、わたしを見ずになべさんと話す。
まるで、存在しないかのように。
だけど、それは一瞬で。
深「….どした？」
いつものようにしゃがんでわたしに問いかける。
少し、困ったように微笑みながら。
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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます！私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす！ (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきゃつき | 作成日時：2023年3月3日 18時
