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第2章 水たまりを覗けば ページ7

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ぴちょん ぴちょん







雨上がりの午後3時。公園の葉っぱにひっついた雨が、下へ下へと落ちていく。
そして、水たまりになっている。





水たまりをのぞくと、自分の顔がうつった。






まるで、違う自分がそこにいるみたい。





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「なにしてんの」





ふいに話しかけられ、そこには





「なべ.....」


渡「よお」





水たまりの前で座っているわたしの横には、思いもよらない人がいた。
なべさんは、わたしと同じように座った。
「さん」をつけ忘れても、なんとも思っていないようだった。




渡「まじで何してんの?学校帰り?」


「はい。」


渡「今日はふっかじゃないの?」


「今日は、来ない日です。」


渡「ふーん」




自分で聞いてきたのに、興味なさそうに返事をする。
ここも、せんせいと違うところ。
なべさんは、せんせいを「ふっか」という。




「なべさんはなにしてるの?」


渡「俺は授業サボってる。んで、公園で昼寝でもしようとしたところにお前がいた。」


「授業サボったらだめだよ?」


渡「お前も大学生になったらわかるよ。授業は適度にサボってなんぼだってな!」




ドヤっという表情が見てとれた。なんだろう。なべさんはせんせいと違って、年齢が低く見える。




渡「てか、俺のことはいいんだよ。お前ここ隣町だぞ?」


「うん」


渡「小学校から遠いのにわざわざきてんの?」


「うん」


渡「なんで」


「..........」


渡「そこは答えねえのな笑」





いつもの公園にいたら、せんせいが迎えにきてくれると期待してしまう。
せんせいが来るのは、授業がある時だけ。
だけど、なぜか期待してしまうから。





渡「….雨止んでよかったな。雨降ってたらきてねえぞ、俺」


「なべさんに、今日会えてよかったです」


渡「本気でいってんの?笑」




わたしは、せんせいのいいところを見つけるのは得意。
だけど、せんせいのおともだちのいいところも見つけるのが得意らしい。




なべさんは、同じ目線で話してくれる。




せんせいとはちょっと違って、「おともだち」のような感覚。





渡「てか、ふっかならもうすぐ授業おわるよ。」


「え!」


渡「急に表情明るくなんじゃん笑。


愛されてんなーあいつ笑」


「.....会いに行ってもいい?」


渡「いいよ。連れてってやるよ」






なべさんは、右側の口角を得意げに上げた。





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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます!私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす! (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきゃつき | 作成日時:2023年3月3日 18時

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