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せんせいは、他の大人と異なる大人だ。






ふと近づけば、すっといなくなるような気がしてる。






「せんせい」


深「はいはーい?」


「せんせいは家庭教師、なんでなったの?」





休憩時間。せんせいは今日眼鏡を外さなかった。





深「んー?まあ、人に教えることは嫌いじゃないしー
大学始まってから、ずっと続けてきたから。社会人になったらもうできないことだしね」


「いつ社会人になるの?」


深「来年の春にはなるよ」


「.....いなくなるの?」


深「ふふ、さみしい?」


「うん」


深「素直な子はかあいいね」


「せんせい、さみしい」


深「んー、俺もさみしい」





今9月だから、あと半年になればせんせいはいなくなる?





深「大丈夫よ。それまでにAちゃんをいちにんまえにするから。」


「..........」


深「そんな顔しないの。今すぐじゃないんだから。」





どうすれば、せんせいとずっといっしょにいれるのかな?
わたしの小さな頭では、到底思いつかないことだった。





わたしとは正反対に、せんせいは鼻歌を歌いながらわたしの勉強ノートをみている。





どうすれば、どうすればいい?





いま、手をつかまないとせんせいがどこかへいってしまいそう。





せんせいがいなくなったら





わたしはひとりぼっちなのに。






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深「そんなこと何も考えなくていい。」


「え、」


深「AちゃんはAちゃんのままでいれば、ずっと笑顔で過ごせるよ」






なんて





難しいことを言ってくる。





「..........」


深「もぉ、そんな顔しないの」


「せんせいの考えてることがわかんない」


深「そりゃそでしょ。他人の気持ちなんてわかんないよ?」





いつもは優しくて寄り添ってくれるせんせいは、時々こんな風に傷つかない程度で突き放す。






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せんせいは、異なる大人だ。






他の人には湧かない、感情が溢れてくる。






せんせいは、異なる人間だ。






わたしとは、正反対の立場にいる人間なのだ。






.






北の方向にせんせいが立っていれば、わたしは南。






地上にせんせいが立っていれば、わたしは深い海底。






.






だけどせんせいは、わたしの心の扉をいとも簡単に開けてくる。






『Aちゃん』






なんて、微笑みながらわたしの名前を呼ぶのだ。






.

第2章 水たまりを覗けば→←.



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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます!私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす! (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきゃつき | 作成日時:2023年3月3日 18時

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