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少し心配するかのようにわたしの顔を覗くせんせい。






「、、、、、、、」


「、、、、、どしたの?」


「なんもない」


「なんもないの〜?」





ヘラヘラと笑ってまだしゃがんでいるせんせい。
これといった理由もないのだが、今日はなぜか帰りたくなかった。





いつもと違う調子に、せんせいも困っているのかな。
でも、今日はほんとうに帰りたくなかった。





するとせんせいが、はっと思い出したかのように話し出した。






「そだ、今日ね。俺ひとりで鍋しようと思ってんだよね」


「そうなの?」


「うん、鍋の気分だったから。Aちゃんの家来る前にスーパーによって材料買ってきたのよ」


「うまそう」


「でしょ」






すぐ食いついたわたしに、得意げな顔を見せるせんせい。
あ、いつも休憩の間にするゲームの話のときと同じ顔。
けっこう、好きな顔。





「トマトの気分だったから。トマト鍋なの。」


「いいな!食べたい!」


「でしょ?」




またまた得意げな顔をする。
せんせい、わたしがこの顔好きって知ってるのかな。




「いっしょに食べる?」


「どこで?Aの家?」


「ううん、おれんち。」


「え、」





せんせいの家には行ったことがなかった。





「いいの?」


「いいよ?だって、お嬢さん帰りたくないって顔してるもん」





せんせいは、人の表情や態度を察知する力がつよい。
そんなとこも好き。





「Aちゃんのお母さんには、事情説明しとくから。安心しな?」





ほら。






なんでも、せんせいは知ってるの。






「ほら、寒いからいっしょにかえろ?」


「うん」


「んふふ、おりこうさん」





立ち上がり、わたしの手を引っ張る。
ほら、せんせいが来るとこのブランコは輝いて見える。





ブランコだけじゃなく、世界が輝くの。





.







せんせいは、他の大人とは異なる大人だった。

.→←第1章 異なる大人



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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます!私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす! (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきゃつき | 作成日時:2023年3月3日 18時

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