第1章 異なる大人 ページ2
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「あの子、親の仲が悪くていつも公園にいるのよ」
「でも両親共々、医者なのは裕福よね〜」
ギーコギーコ
いつもの廃れたブランコを前後に動かす。
夕日が落ちかける時間、公園の柵の外側でそのような声が聞こえた。
「、、、、、、、」
大人は、“うわさ”というものが好きらしい。
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ギーコギーコ
ともだちのブランコが、苦しいとでもいうような声を出す。
たしかに、わたしのお父さんお母さんは仕事で忙しい。
だから、家に2人いっしょにいることはめったにない。
だからといって、仲が悪いわけでもない。
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「おまえ、お母さんみに来ないの？」
「うん」
「なんで？」
「しごと」
「えっー？かわいそう！」
隣の男子が、参観日の日にわたしにそう問いかけた。
何がかわいそうなんだろう。
みんなみんなお母さんが見にきているから？それと異なる存在だから？
なにが、かわいそうなのだろう？
わたしは、本当に疑問だった。
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ギーコギーコ
「親が医者なら、将来有望よね」
「やっぱり、一般の家とは違うのね〜」
ギーコギーコ
「他の子みたいに、遊ばないのかしら？」
「その間、勉強しなきゃいけないんでしょう？」
ギーコギーコ
「そういえば、知らなかったんだけどいつからか家庭教師雇ったみたいよ」
「えー？小学4年生で親の思い通りにさせられるの大変ね」
ギーコギーコ
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「Aちゃん」
足元の砂利に、大きな靴が侵入した。
あ、わたしは、知ってる
この、靴を。
呼びかけても動かない目線に諦めたのか、あなたはしゃがんでこう言った。
「迎えにきたよ？かえろ。」
勉強の時間になっても帰らなかったのに、怒るかのようなそぶりをひとつも見せない。むしろ笑顔だった。
それは、いつものことなのだ。
「、、、、せんせい」
「もぉ〜、寒いだろ？せんせいとおうち帰ろ？」
「、、、、、、、んー」
「あら？そんな気分じゃないの？今日は」
いつもだったら、「帰ろう」と言って素直に従うわたしに少し驚いた表情をするせんせい。
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mamemiya(プロフ) - 世界観がとても好きです。儚さと切なさも感じてとても引き込まれました。更新楽しみにしています。 (5月14日 19時) (
レス) id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
あきゃつき(プロフ) - もぐさん» コメントありがとうございます！私も掴みどころないふかざわさんを書きたくて書いているので嬉しいです(笑)更新がんばりまーす！ (2023年5月3日 19時) (レス) id: 976116a13a (このIDを非表示/違反報告)
もぐ(プロフ) - 年上のふかざわさんの柔和で掴みどころのない雰囲気にきゅんとします。これからも作者様のペースで、更新楽しみにしております。 (2023年5月3日 17時) (レス) id: e4d225bc30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきゃつき | 作成日時：2023年3月3日 18時
