てのひら！ ページ33
「何のこと？」
「俺お前に話すことがある、って話をしてたでしょ。」
「ん？あ、あぁ、いや、うん。そういう話してた気もする。ごめん、あの時はちょっといっぱいいっぱいで。」
「ま、それもそうか。」
「で、話とかないといけないことって？」
「うーん、まぁ、………っていうか、随分と話してるけど、なんか元気になってる？」
「いや別に元気な訳じゃないけど思い出さないようにしてるだけで。」
「もうちょっと感傷に浸ってくれればいいのに。」
「悪趣味だね？」
「そっちの方がつけ込めるからな。」
「何の話？…そもそも、元気な訳じゃないって言ってるじゃん。さっきのゴタゴタで多少は吹っ飛んだかもしれないけど、なんか、もう、二宮くんが言い出すせいで思い出し始めた。また涙出てきそう。」
「泣く？抱きしめてやろうか？」
「何言ってんの。そんな慣れない冗談つかないでよ。」
「冗談じゃないんだけど、抱きしめていい？」
「だからなに……」
何言ってるの、って言おうとした言葉がするりと喉奥に引っ込んだ。そんな冗談をつくやつだっけと思って居たものの、目が、これは、駄目なやつだ、本気の。
「弱みにつけ込ませてもらうけど、いいよな、それくらい。随分待ったんだからさ。」
一旦は離された手を、また捕まえられる。今度は手首を掴むなんて乱暴なものじゃなく、手の甲を掌で包まれる、じんわりと体温が滲む触れ方。
「……Aの顔が見えないから、手で許したげる。」
「……なに、手で許すって、」
「良いだろ、じんわーり赤い顔も見えるんだし、最高。」
「意味わかんな、｣
「……大丈夫かなって思って、ちょっと油断して海外まで飛んだのが間違いだったかな。断ろうかとは思ってたんだけど、新人が上からの命令断れるわけないしね。…それでも、早々に捕まえときゃ良かった。」
「……」
「A、俺のこと好きだったろ、小学生の頃。」
「……初恋でしたけど何か。」
「あれ、素直。」
「気づかれてたかなとは思ってた。」
「ふぅん、なるほど。まぁ、でね、俺も好きだったんだよね。」
「…は？」
「何その信じられないって顔。ほんとなんだけど。」
「だって、放課後の、あの、二宮くんが、別に好きじゃない、友達としてしか見てないからとか、言ってて、それ、」
「え、嘘でしょ。あれ聞いてたの。ほんとに？」
「いや、うん、たまたま…ベタなフラれ方したなってちょっと笑えてくるくらいには鮮明に覚えてますけど…」
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
