ああ！ ページ28
「どういうこと？私好みの景色、みたいな事なのかな。なんだろそれ、益々気になるなあ。」
「いやーーーどっちかって言うと、なんて言うか、いや、うーん、いや……」
「絵面だけは完璧だよね、そういう意味じゃ。」
「もう！キムラ！違うでしょって！そういうことじゃないけど！絵面でもAさんには敵いませんから！そう言うのはね、顔の善し悪しじゃないの！」
「え？何、悪口？と言うか何が？」
「そりゃ、あっちは完璧だけど、Aさんとなら超超完璧だから！完璧なんて比にならないくらい完璧だから！」
「………分かってんじゃんキムラ！」
「どんなもんだい！」
「私が完璧な絵面、って、えへ、」
なんだろう、銀景色の中に私が映える景色なんてよく分からないけど、せっかく可愛い後輩が言ってくれたものなら、少しは興味が湧いてしまう。
2人が覗いていた方向を私もちょっと見てみようと近づく。後ろで三浦さんの、あ！って声が聞こえた。
「Aさんっ！駄目です！」
血気迫った三浦さんの声が頭を突き抜ける。さっき木村さんと冗談っぽいことを言っていた声とはまるで違う声。そんな声に、いつもなら驚く私の体が、体をびくりとさせることもせずに、静かに私の歩みを止めた。
櫻井くんがいた。
私がそちらに目を向けた瞬間に、櫻井くんの上半身が傾く。
傾いた背中の向こう側に、女の人が見えた。
櫻井くんは女の人の背後にある松の木に所謂壁ドンの形で腕を預けながら、そのまま止まることなく、顔は女の人に近づいて。
長く、長く、きっと、実際は3秒もなかったんだろうけど、2人は酷く長い時間、顔同士がゼロ距離のままのように思えた。
ふるりと、櫻井くんの頭越しに見える、女の人の睫毛が震える。
櫻井くんの表情は、斜め後ろからで、よく見えない。
Aさん、Aさん！
三浦さんが叫ぶような声で私を呼ぶ。
ああ、駄目だよ、そんな声で呼んじゃ。気づかれちゃう。気づかれちゃうから。
三浦さんたちの声を聞いてか、二宮くんと松本くんの声が近づいてきた。
ごめんなさい、Aさん！
尚も三浦さんは叫ぶ。
案の定、その声は櫻井くんに届いたらしく、驚いた顔でこちらを振り返る。
ぽうっと櫻井くんを恍惚とした表情で眺める女の人は、荊田さんだった。
いろんな感情がぐちゃぐちゃと、混ざって、混ざって。
すとん、と落ちた。
驚くほど自然に、口角が上がる。
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あま - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!! これからも応援してます!!! 頑張ってください!!!!! 待ってます!!!!! (2020年3月18日 1時) (
レス) id: 5287825b4c (このIDを非表示/違反報告)
さおりんご(プロフ) - とても面白く、いつも胸キュンしながら読ませていただいています。陰ながら応援させて頂いてますので更新頑張ってください！ (2020年3月17日 3時) (レス) id: 27caed879b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤乃 | 作成日時：2020年2月1日 0時
