・ ページ8
「俺日本人ちゃうからさぁ、あんま生まれが良くなくて。海外の……まぁ所謂スラム街ってとこで誕生しちゃったから、金もないし食べ物も無いしでまぁ散々な思いしたのよ」
「え、ガチ？」
「今からは想像つかんやろ？俺努力だけでのし上がってきたタイプやねん。どう、惚れた？」
「惚れてはないけど……すごい、とは思う」
日本って平和やからあんまイメージつかんと思うけど、俺も出自そんなもんやからあんま気にせんとき。
そう言って、センラさんは私の頭を撫でてきた。相変わらず二日酔いのせいで顔色は悪いが。これはセンラさんなりの慰め方なんだろう。なんなら私より酷い人生歩んできてるのに平気な顔をして過去のことを言えるくらいなんだから、もう吹っ切れているのかもしれない。
私ももう前を向かなきゃな……。
平気なフリをしながらも、時々二度と戻らない過去を振り返ってしまうのは私の悪い癖だ。医者にも言われた。多分もう母の意識は一生戻らないって。脳に障害が残っているから。
「……そんな顔せんの。俺がおるやろ」
「わ、私たちは家族じゃないじゃん……」
「まぁ家族ではないけど、じゃあなんなん？俺らの関係って」
「…………居候？」
自分で声に出してからあながちそれも全くの間違いじゃないことに気づいてしまって、なんだかまた申し訳なくなってくる。
なんの見返りも求めずに面倒を見てくれるセンラさんが優しすぎて無理になりそうだった。この人は本当に、どうして私に優しくしてくれるのだろう。どうして優しさの狭間で覗く執着を私に抱いているのだろう。
センラさんはきっと、私を手放すことを望んでない。昨日気づいたけどセンラさんは私のことは恋愛対象じゃないと言っておきながらも、女として見てるんだと思う。じゃなきゃあんなこと言わない。私たちの関係って、一体なんなんだろう。
分からないけど、私、この関係が嫌いじゃない。だから私も多少はセンラさんに好意を抱いてるのかも。多分。
「居候も間違いとちゃうけど、なんか飼い主と猫って感じちゃう？」
「え、私猫なの？」
「だってツンツンしとるもん。デレてくれんやん。いつになったらデレてくれんの？センラさんぎゅーしたいって言って甘えてくるA欲しいんやけど」
「添い寝以上に気持ち悪いこと言わないでよ」
ドン引きしている私を無視してセンラさんは「食べ終わったしもうちょっと寝よかぁ」なんて言って私の肩を抱いてきた。さっき言質はとったから逃がさねぇぞ、ということらしい。
……まじで添い寝すんの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 857人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白雨(プロフ) - ふーかさん» コメントありがとうございます〜！こういう俺様っぽいうらたさん好きなので褒めていただけて嬉しいです！もう少ししたら志麻さんも出てきますのでお待ちください〜！◎ (2月23日 10時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか(プロフ) - 続きたのしみに待ってます！！うらたさんめちゃめちゃいいですね🥹志麻さん推しなので、志麻さんが沢山出てくるところも楽しみにまってます💗 (2月17日 22時) (レス) @page16 id: dd6022b1aa (このIDを非表示/違反報告)
翼 - 勿論です✨白雨さん！これからも更新頑張ってください😆 (1月12日 22時) (レス) id: 07d93d7f27 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 翼さん» ありがとうございます！これからも頑張りますね、是非最後までお付き合いいただけますと嬉しいです◎ (1月9日 9時) (レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
翼 - 白雨さん！僕はこの作品が好きです！これからも頑張ってください(｡•̀ᴗ-)✧ (1月5日 22時) (レス) id: 07d93d7f27 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
