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一気に空気が重たくなった。
鋭い視線を向けられ、私は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう。先程までの威勢はどこに、だなんて言われてしまいそうなほど萎縮した私を見て、彼は気を良くしたように笑った。
王者の余裕、なんて言葉が頭を過ぎる。まさに彼は王で、彼こそ権力そのものもなのだ。圧倒的な力を目前にして、私ができることは何も無かった。
「いいか、よく聞けよ」
「っ、」
「おい、返事」
「ぅ、や……っ」
やだ、怖い。
なんて言おうとした口を、塞がれた。
唇にふんわりと、柔らかい感触があたる。思いもよらぬ出来事に、私は目の前にまで迫ったその綺麗な顔をぼーっと眺めることしかできなかった。しかしすぐに離れたその熱に余韻を持たせることなく、うらたは再び口を開いた。
怖いのに、力強いその翡翠色の瞳から目が離せない。
「否定は要らねーんだよ。YESかNOか聞いてるんじゃない、おまえにYES以外の選択肢はねぇの。わかる？」
もう口は塞がれていないのに声が上手く出せなくて、私はこくこくと何度も頷いた。涙の滲んだ視界の中では彼の表情は窺い知ることができなかったが、私は本能的にもうどうにもならないんだと察した。
私、もう本当に後戻りできないんだ。
これから、どうなっちゃうの……？
▽
▽
すっかり大人しくなってしまった彼女の肩を抱きながら、車に揺られる。
縮こまってうんともすんとも言わずに静かにしているAからは、なぜか良い匂いがした。不思議だ。くそジジイがあんなこと言うから女嫌いの俺が恋人役となる女を探していたのだが、触れられても俺が不快感を感じない奴がこの世にいたとは。他の女は指先が触れるだけで嫌なのに。
だから手首を掴まれて腕を引かれた時、驚いた。こいつは全く嫌じゃなくて、むしろ触れるといい反応が返ってきて楽しいとまで思えた。
まぁ今はさっきの脅しが相当効いたのか、俺がこいつを気に入った要因である威勢の良さはどこへ行ってしまったんだ、というくらいだけど。
「(……まぁでも、大人しい方が言う事聞かせやすいしいいか)」
俺に必要なのは駒だ。絶対に俺に逆らえない駒。
だが俺に従順で可愛らしい、小動物のような女を探していたはずなのに全くそんな要素のない奴を恋人役に指名してしまった。我ながら阿呆だと思う。
でも何故かこいつがいい、と思ってしまった。
小さくて弱いくせに、俺に噛み付こうとするその姿が憐れでかわいかったから。
「(……あと単純に、こいつ顔綺麗なんだよな……自覚なさそうだけど)」
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李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜！私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します！！動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました！🥺お体に気を付けて更新頑張ってください！🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作成日時：2023年6月21日 15時
