8.危ない男。 ページ45
.
駐車場で出会った女の子は、先程まで気を張っていたために疲れたのか、気づけば車の助手席で眠ってしまっていた。
嫌そうな顔をしながらも見知らぬ男に着いてきた辺り、本気で保護者とやらが嫌なのだろう。まぁあの危険な状況から守ってくれそうな人が現れたから着いてきた、というのもあるだろうが。
さすがに見知らぬ子なので家に連れて帰る訳もなく、俺は最近会社に近いからという理由で借りて拠点にしている家の中にその子を連れていくことにした。
若干冗談半分で家出したいかどうか聞いたんやけど、ほんまにしたいって言い出すとは思わんかったな……これ俺完全にやってること犯罪やし。
「(……よく見たらこの子、顔綺麗やなぁ)」
芸能人かなにかだと言われても信じてしまうくらいのルックス。体のラインも綺麗だし、顔も整ってるからきっとその保護者とやらはさぞかしこの子を可愛がっただろう。こんなに上等な生娘は中々居ないから。
家の中に入ると、姫抱きにしていた少女をソファの上へと下ろす。
そして、着替えさせるために服へと手を掛けた時、不意に彼女の体に残された鬱血痕が目に入る。
「……うわ、えぐ……」
首元から胸にかけて、大量につけられたキスマークや噛み跡。この小さな体で、この少女は"保護者"から相当な執着を向けられているのだとそこでようやく理解した。
全然意図せず連れてきちゃったけど、未成年なのにこんな痛々しい跡を身体中に付けられていると分かってしまったら見て見ぬふりをするのは可哀想だろう。まさか治安がいいと聞いていた日本でもこんな事があるだなんて。
きっと知られたくないだろうし、このままにしとくか。
そう思い至って、俺は脱がせた服を元に戻した。そして何食わぬ顔で冷蔵庫から酒を持ってくる。テレビをつけてしばらく酒を片手に画面を眺めていると、起きたらしい彼女が軽く「う……」と呻き声を上げながら目を覚ました。
「あ、おはよ。風呂沸かしといたから、目が覚めてきたらでええから入ってね」
「えぇ……めんどくさ……」
「いやいや外出とったんやからばっちぃでしょ。入ってきて」
なんというか、肝が据わってるというか。
反抗的な態度を示した彼女はもう一度寝に入ってしまった。こいつ……と思いながら、その肩を軽く掴んで揺さぶるが全然起きなかった。なんで知らん男の家やのに平気で寝れんねん。
まるで慣れてます、とでも言いたげな顔をして眠る彼女が起きたのは、それから十数分もあとの事だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 698人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
李 雨月(プロフ) - 垣瀬さん» コメントありがとうございます。お仲間ですね〜！私も動物シリーズ大好きです(*´˘`*)♡ 私は初めて聴いた時から書きたくて仕方なかったです……笑。更新頑張りますので今後とも是非お付き合いくださいませ◎ (6月22日 19時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
垣瀬(プロフ) - コメント失礼します！！動物シリーズほんっっと大好きです♡♡この曲のパロも出ないかなーって思ってました！🥺お体に気を付けて更新頑張ってください！🙇 (6月22日 7時) (レス) @page5 id: 644357a4d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雨 | 作成日時：2023年6月21日 15時
