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「もうそんな時間なの？」
私は、ベッドの端に座る自分の隣に腰掛けたうらたくんの言葉を繰り返すようにしてそう問い掛けた。
外がやけに暗いとは思っていたけれど、まさかそんな時間になっていたとは。こんな状況だというのに孤児院のベッドの上で熟睡できる自分の図太さに最早呆れてしまった。さすがにここまで自分の神経が図太いとは思わなかったんだもの。
だけど、やっぱり昔住んでいたし、長年恋焦がれていた孤児院に来たからというのはあるかもしれない。この清潔な匂いは昔と何ら変わりないから。
「今大体八時くらいかな。んで、桃缶だけじゃ足りないだろうから、だから一緒に食おうと思って飯持ってきた」
そう言ってうらたくんは、慣れた手つきでミネストローネと書かれたラベルが貼ってある缶詰の蓋を開けた。ぱか、と開けられた缶詰。途端に洋風の料理だと一瞬で分かる香ばしい匂いが部屋の中に漂う。
これが警察から届けられた物資だと思うと申し訳なくなるけど、素直に美味しそうだと思った。香りからも分かる。缶詰なのに、とてもクオリティが高いものらしい。
「あとこれ、パン。コッペパンだけど、お前嫌いじゃなかったろ？」
「うん。ありがとう」
「美味しい？」
「美味しいよ」
「そう」
質問が多い彼に、今のはなんの確認だったんだろう、と疑問に思った。だけどその真意を聞く勇気がない私は、いただきます、と小さく呟いた後にちまちまと食べ始める。
缶を抱えて中に入ったミネストローネをスプーンですくいながら、うらたくんがくれたコッペパンをちぎってぱくりと食べてみる。ちょっとパサパサして乾燥してたけど、隣に幼馴染みがいるおかげなのか美味しく感じた。
うらたくんの体温は高い。少しだけど肩が触れ合ってるせいで、彼の体温が触れた箇所からよく伝わってくる。正直言って、安心してしまった。現実を受け止めきれない自分の頭が、都合のいい思い出を、昔の彼らだけを求めてやまないのだ。
私の幼馴染み四人いたのに、今まで経った時間の中で再会できたのは二人だけだったなと、その時ふと思った。昔の記憶にある私は、いつも四人の男の子と一緒にいた。二人は、紫髪と赤髪の可愛らしい男の子だ。
会いたい……あの二人は、一体どこにいるんだろう。
「あの、うらたくん。センラくん以外の二人って、今はどこにいるの？」
「…………なんでそんなこと聞くの？」
「だ、だって、心配、だから……」
「それ、必ずおまえが知ってなきゃならないことなの？」
うらたくんの声色が、先程と一変した。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
