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「わ、私は……」
どうしたい、なんて急に言われても。
困った私は、その先の言葉を紡ぐことが出来ずもごもごと口ごもった。その様子を、二人は黙ってじっと見つめている。
ど、どうしよう、どうすればいいんだろう。
「わかん、ない」
「自分がどうしたいのかも分かんないの？……相変わらずだね、Aは。あの頃から全然成長してない」
「だっ、だって……！」
「しょーがないから、俺が連れ去ってあげる」
そう言うと、うらたくんは私からセンラくんを引き剥がした。引き剥がしたと言ってもセンラくんはなにも抵抗をしなかったから、離すように催促したと言った方が正しいかもしれない。
しかしセンラくんから私を離したものの、いつの間にか腰が抜けてしまった私が立てないということに気づくと、うらたくんは「大人しくしてて」と言って私のことをひょいっと抱えた。それは、まさかのお姫様抱っこだった。
老朽化が進んでいるせいでキィキィと嫌な音を立てる木製の床の上を歩きながら、うらたくんは鼻歌を歌っている。こんな事されたのは初めてだったし、自分が宙に浮いている不安定な状況のせいで、怖くなった私は彼の着ている制服をぎゅっと握った。
「はは、落とさないよ。だから怖がんないで」
「ほんと……？」
「Aのことはもう絶対に離さないって決めてんの。俺たちを引き剥がした大人はもういない……だから、安心して」
俺たちを引き剥がした大人、その言葉にゾッとした。そうだ。だって彼らは、この孤児院の職員を襲ったのだ。しかも職員の二人は既に死亡が確認されている。
確かに私たち家族を引き剥がしたのは大人だったけど、孤児院の先生はみんな優しくて離れ離れになる私たちにも配慮してくれていた。なのに、どうして。そんなに恨みを抱いてしまったのは、どうしてなの。殺傷に到るまでの経緯がまるで分からない。
うらたくんの頭に巻かれた包帯のことだって、制服を繕った体のあちこちから覗く生々しい傷跡のことだって、何も私は知らなくて。この数年間で彼らに一体何があったのか、知りたいのに怖くて聞けない自分が恨めしかった。
「……今のAが俺らのこんな姿見たら幻滅するだろうな。なんでこんなことしたのって泣いちゃうかも。Aって泣き虫だし」
うらたくんは遠くを見つめながらそう呟いて、その次に私を愛おしそうに見つめた。
人を殺めたのも、何か理由があるんだよね？そうじゃないと、優しいうらたくんたちがこんな事する訳ない。そう言いたいのに、伝えたいのに、開いた口からはなにも言葉が出てこなかった。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
