11.遺された涙。 ページ49
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「一ノ瀬先生」
「まふ、来たか」
全世界を驚かせた高校生4人組が起こした引き籠もり事件から数年後、青みがかった髪の青年と白髪の少年はとある墓地に来ていた。
墓の前で手を合わせ、沢山の花で弔われた彼らの姿を見て少年は息を飲む。
数年前、事件を起こした兄たちは、世間からの解放を求めて自ら命を絶ってしまった。遺体は5人寄り添った状態で見つかり、葬儀には子供たちだけでなく姉の里親、昔姉を保護した警察官、様々な人達が訪れたらしい。
だけど僕は行かなかった。信じたくなかったから。
「……ばか、ばか、ばか」
「……」
「何で、なんでだよ、なんの相談もなしに、なんでだよ……！！」
「まふ……」
「ここまでくるのに、5年もかかった……未だに死んだって、いなくなっちゃったって、信じられなくて、信じたくなくて、ずっとずっと、どこかで生きてるって信じたくて、来れなかった……！！」
……ずっと会いに来れなくて、ごめん。
今にも消え入りそうな声でそう言ってから、少年は泣き崩れてしまった。墓石にすがりながら、なんで、なんでだよ、と何度もつぶやく。
「僕、来年で兄ちゃんの歳も、姉ちゃんの歳も抜かしちゃうよ……いいの？僕のこと、もう弟って言えなくなっちゃうよ、いいの？」
「まふ、」
「一ノ瀬先生がね、助けてくれたんだよ、僕の面倒見てくれて、兄ちゃんたちの無実も証明してくれて、だから、だから……戻って、きてよ」
兄たちは犯罪者なんかじゃない、愛故に、狂ってしまったフリをしてその刃を振りかざすしかなかった哀れな少年たちでしかなかった。
泣き崩れる少年の肩にそっと触れた青年は、しゃがみ込むと墓石に向かって話し始めた。
「君らが未来を託してくれた子供たちは今、それぞれ夢に向かって頑張ってます。君らが命を懸けて守ってくれた命を大切に、今を生きています」
「先生……」
「君らの時はもう止まってしまったけど、子供たちの未来はずっと続いていく。どうか見守っていてくれませんか。俺からも子供たちの幸せを祈りながら、君らに花を添えさせてください」
そう言って、青年は花を添えた。
泣き止まない少年を抱き寄せ、ぽんぽんと頭を撫でる青年は抱えきれない気持ちを胸にこうすることしかできなかった。
「……私たちは、幸せだったよ」
声が聞こえた気がした。
思わず少年は顔を上げて辺りを見回すが、そこには誰もいない。
本当に幸せだったのかな、なんて。今となっては分からないことだけど、なぜが体がすっと軽くなった気がした。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
