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でも、現実は残酷だった。
彼らを引き止めるだけの理由も、生きる理由も、なにもかもを、私は持ち合わせていなかった。
死なせたくないのに、それが正しいとも思えない。
「あかん……A、泣かないで……」
「っごめん……ごめんね、わたし、」
「もう、何も言わんとって……これ以上泣かせたくない」
坂田くんに、抱きしめられる。私は彼の腕の中で泣くしかできなかった。
気づけば揃っていた他の3人が、坂田くんの上から私を抱きしめてくれた。あぁ、大好きだ。私は彼らが本当に大好きなのだ。分かってしまった。気づいてしまった。
涙が止まらない。
ずっと一緒にいたい。みんなと、坂田くんと。一緒にいたい。出来れば私も、普通の幸せを感じられる人生を歩みたかった。
「俺、今が人生で1番幸せかもしれない……もう二度と、5人で会うことなんてないと思ってた」
「最期がおまえらと一緒なんやから、最高や」
「大丈夫やで、もうひとりじゃないからね」
幸せだと言ったうらたくんに同調して、志麻くん、センラくんが次々と言葉をこぼした。死ぬ間際になってようやく幸せを実感できるなんて皮肉な話だ。
やっぱり私たちは、この世界に愛されてなかったんだな……。
その後、私たちは燃えにくいであろうコンクリート製の倉庫の方に篭って、5人でくっつきあって昔の話をしていた。あの時泣かせてごめん、とか。あの時本当は嫌だったとか、そんな話もした。
だけど楽しい話も尽きなくて、私たちは笑い合いながら防音ルームの前にまで迫った炎には目もくれずに話し合った。
轟々と燃えている炎の匂いが、こちらにまで届いている。倉庫の扉の隙間から、奥の方にある炎が見える。だけどよかった。
「あの時おまえまじで焦ってたよな、俺の作った粘土踏んで壊したから」
「なんでまだそんなん覚えてんの？！あれは事故やったやんか！！」
「坂田は昔っからそういうとこあるからな〜」
「うらたんもうらたんで結構根に持つよね、俺すぐ忘れちゃうから覚えとらんのに」
「ふふ、センラくんも相変わらずだね」
楽しい時間はあっという間にすぎていく。
私と坂田くんが二人で遊んで隠れていた時、3人に見つかって一緒になってかくれんぼして遊んだりしたことがたった。あの時は楽しかったな、本当に……。
こうやって5人で誰も探しにこないはずなのに、くっつきあって息を潜めながら顔を見合せていた。
「暑くなってきた……もうすぐ、やねんな」
「うん……炎、目の前まできてるの見えるね」
坂田くんと、ぎゅっと手を繋ぐ。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
