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現実より辛いことはなくて、でも私たちはそれを乗り越えなきゃいけなくて、どうしようもなく途方もないような気持ちになってしまった。
神様は乗り越えられる試練しか与えないと言っていた誰かは、きっと本当に心の底から死にたくなるほど辛いことを経験したことがないからそんなことを言えたのだ。メディアででかでかと歴史に残る大事件として取り上げられる私たちの末路は、正当防衛が証明されたとしても薄暗い。
この孤児院で起きた事件は、私たちの心に深く根を張って生きる希望を吸ってしまう。ただ出口のないトンネルを進んでいくだけの人生を歩んでいくのは、本当に正解なのだろうか。私たちはいつになったら心から幸せになれるのだろうか。
そう思うと、私はもう答えを見つけることができなかった。もう、十分生きてきた。私の前から姿を消した両親は失踪したままこの世には居ないものとされてしまった。里親の二人は別に子供を望んでいて私を養子にした訳でもない。
私を心から愛してくれているのは幼なじみの四人だけだ。そう、おかしくなってしまった、私の大好きな四人だけ。
「……ねぇ、志麻くん」
普段の私だったらここまでの結論には至らなかったと思う。ただ生きてれば楽しいことがあるかもしれないからと勝手に期待して、生きたいと願ってしまったと思う。
だけど、私もおかしくなってしまったのだ。
もう、なにもかも分からなくなってしまった。この世界の存在理由とはなんだ。人形みたいに生きている私の存在理由とはなんだ。迷惑しか掛けられない屑みたいな人間が酸素を無駄にしてまでこの先もずっと生きていくことは本当に正しいのか。
答えのない疑問だけを胸に溜め込んで、私はわざとらしく口角を上げて志麻くんに言った。
「私ね、どうやったら最後までみんなとずっと一緒に居られるかなって、考えてたの」
「……」
「みんなでさ、一緒に死のうよ。私たちを愛してくれないこんな世界なんて、捨てちゃえばいいんだよ」
自分が思っていたよりも淡々としてそんなことを言った私を見ているのは、目を見開いて驚いた顔をしている志麻くんの姿だった。
思った通りの反応だ。
「おまえは、Aは、やり直せるやろ」
「無理だよ」
「Aは人も殺してないし、ただ俺らの人質になっただけやし、なんで、なんで死ななあかんの」
「……この先も好奇の目で見られるよりも、最後は大好きな人達と一緒に死にたいの。私、もう十分耐えた……この世から、解放されたい」
私の切実な願いに、志麻くんはやがて諦めたように「わかっ、た……」と小さく呟いた。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
