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「チビたち、おまえら絶対外出るなよ！！」
うらたくんがそう叫ぶと、幼いながらもなにかを察したらしい子供たちは真剣な顔をして皆頷いた。先程までの騒がしさが嘘のように静寂に包まれた防音ルーム。
バタバタと走っていくうらたくんと志麻くん。そして顔色を変えてその後を追っていくセンラくんの背を、私はぼーっと見つめることしかできなかった。私はあまりにも無力だった。なにもできない。なにも力になれない。それを再度確認してしまって、私は泣きたくなった。
また私が幼馴染みたちから離されてしまうような、そんな気がした。やけに三人が遠く感じた。
放心したようにその場で立ち尽くす私が防音ルームのドアを見つめていると、不意に倉庫に繋がっている方のドアが開く音がした。見れば、そこには顔色の悪い坂田くんが立っていた。彼は焦ったように歩いてくると、私の方に手を伸ばした。
「また、いなくなるの」
「へ」
「嫌や、大人はAと俺らを引き剥がすから嫌いや……なんで、離れてくん。俺はこんなにAが大好きやのに、なんで離れなあかんの。ねぇ……A、もうどこにも行かないで」
私のすぐ側まで来た坂田くんはぼろぼろと涙を零しながら、そう言って私に縋り付くように抱きついてきた。多分さっきのうらたくんの声を聞いたんだろう。それでなにかあったんだと察したんだ。
扱いを間違えれば今にも壊れてしまいそうなほど不安定な彼を前にした私は、掛ける言葉を見つけることもできずにただ坂田くんの背を優しく撫でることしかできなかった。
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▽
「まふが懐いてた教育実習生が行動起こしたっぽい。外でマスコミがクソほど騒ぎ立ててる」
「今のままやとチビたちにまでなにか起こるかもしれんし、そろそろ覚悟決めた方がええんとちゃうの。……Aまで巻き込んでもうたし」
外の様子を窓から盗み見たうらたと志麻は、そんな会話をしながら自分たちの命よりも大切な家族の姿を頭の中に思い浮かべた。
計画性もクソもないこの立て篭り事件の全ての原因は大人であって俺たちじゃないのに、世間は俺らを罪だという。暴力と権力で子供を押さえつけて支配していた大人などには目もくれず、ただ目の前にある俺たちが大人を殺めたという事実だけに食らいついてそれを批判した。そんな盲目的な大人が、俺は嫌いだ。
なにも言葉を発さないが、不安げにこちら見ているセンラを安心させるために頭を撫でてやると、センラは恥ずかしそうにしながらも嫌ではないらしく気持ちよさそうに目を瞑った。
……やっぱり、信じられるのは家族だけだ。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
