8.哀れな僕らに救済を。 ページ36
「……ねぇ、その協力者の男の人の名前って分かる？」
「え？う、うん。一ノ瀬先生だよ」
「わかった。通ってるのって、ここから一番近くの小学校だよね？」
そう聞くと、男の子はぽろぽろと瞳から滴を零しながらもこくりと頷いた。私も少しだけ通っていた小学校だったから、あそこなら場所もわかる。
その一つのボイスレコーダーが、私の大好きな四人の正当防衛を証明する決定的な証拠になるかもしれない。そう思ったら、私は行動に移さずにはいられなかった。
「……警察の人に聞いてみる」
「えっ……で、でも、いいの？警察の人にわがまま言うなって怒られない？」
「大丈夫だよ。それにみんなの正当防衛を証明する為だもん……私もできる限り頑張りたいの」
そう言って頭を撫でると、彼は今まで出せなかったものを溢れさせるように泣いた。きっとこの子は他の子よりも突出して賢かった分、あの四人が自分たちのことを庇っている事実に気付いて、なにもできない自分を悔しく思っていたんだろう。
家族思いのいい子だ。四人を大切に思ってくれている家族がここにもいた事を知れて、私は嬉しくなった。そして、それと同時に昔の記憶が蘇る。
それまで名前も思い出せなかったのに、突然不自然なほど鮮明にそれは浮かび上がってきた。
「……今までがんばったね、まふくん」
「っ、ぅ、ひく、」
昔、私たち五人の後ろをついて回っていた小さな男の子がいた。今更になってその子の顔を思い出してみて、やっとわかった。服の間から覗く少し色の白い肌に、幼いながらも整っている顔。まふくんは、昔も変わらずこの綺麗な顔で笑っていた。
Aお姉ちゃん、これあげるね。そう言って花で作った指輪を渡してくれた彼。どうして今まで忘れていたんだろう。歳下の中で一番仲が良かったのに。
「(……忘れたく、なかったのに……時が経つのって残酷だ……)」
▽
▽
しばらく経って、まふくんと一緒に事務室まで来た私は緊張しながら受話器をとった。さっき電話した時に伝えられた、今回の事件の捜査本部と繋がる専用の電話番号。
それを打ち込んで何コールか鳴った後に出てくれた先程と同じ女性に、今回電話した目的である、例の先生を探すために人探しを頼む。
「分かりました、調べてみますね。あ、それと必要なものはありますか？支給品は足りていますか？」
「大丈夫です。子供たちもお腹いっぱい食べれるようになって嬉しいって言ってました」
そう言うと、電話の先で女性が息を飲んだ音が聞こえた。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
