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「…………落ち着いた？」
「うん……ありがと」
結局彼の胸の中で散々泣いた私は、瞼が重たくなっているのを感じつつも彼から離れ、照れ混じりにお礼を言った。すると見上げた彼もどこか罰が悪そうな顔をしていて、幼馴染みとはいえ、さすがに高校生にもなってここまで密着するというのは彼も少し恥ずかしかったのだと今になって察した。
だけど、正直再会したのは小学生の時以来だし、今はお互い体格も違うから恥ずかしくなってしまうのも分からなくはなかった。私はあまり背が伸びなかったせいであの頃とあまり見目が変わらないけど、体型とか顔とか、少しは女の子っぽくなってるだろうし。多分だけど。
うらたくん、もしかして意識してくれてるのかな、なんて。そんな風に思って、少し舞い上がったような気持ちになってしまった。状況が状況だし、あまり喜べたようなことではないのだけど、少しの勘違いなら許して欲しい。
「そんで、Aがやろうとしてることはなに？大方予想はついてるけど」
「あ、えっとね、私、完全に皆が今回の件の被害者であることを証明しようと思ってるの。全部正当防衛だったんだって、分かってもらいたくて」
「そっか……うーん、でもさ、それはちょっと難しいと思うな」
証明するのは難しい。それは、うらたくんからの否定の言葉だった。少しニュアンスを柔らかくしてくれてるけど、要は無理だって言われてる。
安定した声のトーンでそんな言葉を零した彼に反論しようとしたものの、何故か私の口から出た声はやけに弱々しいものになってしまっていて、動揺しているのは丸わかりだった。心臓がいやなくらいドクドクいってる。どうしよう、うらたくんに協力して貰えないかもしれない。
「な、んで、そんなこと言うの」
「…………俺、人殺してるんだよ」
それを聞いた瞬間私は、はっと息を呑んだ。あまりに悲しそうに歪んだ彼の瞳が、濁りと憂いを帯びたその硝子玉が、ころんと揺れたのが見えた。それは間違いなく諦めの表情そのもので、なのに彼はその顔で無理やり笑みを作って笑って見せる。
すっかり忘れていた事実に、私は自分が無意識のうちに現実から目を逸らそうとしていたのだと今更になって知ってしまった。なにが証明する、だ。自分も現実から目を背けていたくせに。
何も言い返せない自分が嫌で、とにかくなにか言おうと口を開いた時。不意に、防音ルームの扉が開く音がした。
「皆どこにも居らんと思ったら、こんな所に集まっとったんか」
「志麻、くん……」
ぽつりと彼の名前を零すと、振り返った彼と目が合った。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
