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「……なんでそんな事したの？」
うらたくんからの一言目は、そんな言葉だった。センラくんと彼の背に隠れている坂田くんは心配そうにこちらを見ている。
子供たちのキャッキャと遊ぶ声で重たい鉛のような空気は大分マシになっているものの、こういった空気がトラウマレベルで苦手な私は口ごもってしまう。どうしても責められるのはこれから殴られてしまうんじゃないかと錯覚してしまって駄目なの。
幼い頃にされた虐待は、死を彷徨った経験は、もう十年も経ったというのに今でも私の根元にこびりついて剥がれてくれない。私を完全に縛ってしまった。それ故にやっと紡ぎ出した自分の言葉は弱々しく、声は震えてしまっていた。こんなの、怯えているのが丸分かりなのに。
「ご、ごめんなさい……勝手な、ことして……」
「あ、ごめ……その、別に責めてるわけじゃないの。ごめんね、キツい言い方して。ただ、意図を教えて欲しかっただけ」
ハッとしたようにそう言ってからうらたくんはこちらに手を伸ばしてきたけれど、結局触れることを躊躇って伸ばされた腕は空中を彷徨いながらやがて元の位置へと戻っていった。
彼の気まずそうな顔に、私は申し訳なくなってしまって、目を伏せがちになりながら言葉をなんとか絞り出す。弱気になってる場合じゃないって分かってるの。だから、逃げちゃダメだ。ちゃんと向き合わないと。
「警察の人達は皆が……４人だけが悪いって思い込んでるから、だから、根本的な問題を知って欲しかったの。今回の事件の本当の被害者は誰なのか、分かって欲しかった」
「…………誰に聞いたの。なにを、どこまで聞いたの」
「副院長先生が院長先生になってから、職員の人達に虐待されるようになったって。そのせいで皆ボロボロなんだって」
男の子に聞かされてきた事実と、うらたくんの体の所々に貼られたガーゼや絆創膏、そしてその下に覗く色濃い痣を見て、私は胸がキツく締め付けられるのを感じた。
心臓が痛くなるのをなんとか耐えていると、不意に自分の頬に生暖かいものが伝って落ちていく感覚がした。顎を伝い、重力に従って真っ逆さまに落ちていくそれは私の着ていた服を濡らして、ぽつぽつと雨が降るようにシャツを濃く染めていく。
最初はなにがなんだか分からなかったけれど、少し離れたところでこっちを見ていたセンラくんが小さな声で「A、泣かないで」と呟いたことで、私はようやくその時になって自分が泣いていることに気付いた。溢れるそれは、留まることを知らずぽたぽたと落ちていく。
やだ、どうしてこんなに涙が止まらないの。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
