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さっき来た道を走って、事務室へ行くと、私は中に入ってどこかにあるはずの固定電話を探した。
「あっ、た」
見つけた固定電話の受話器を取ると、私は警察へと繋がる番号を打ち込む。まだここには入ってこないで。みんな不安定だから、
そう思いながら、電話が繋がって「どうされました？」と優しい声で聞いてきた警察官の男の人を相手に、私は自分のことを話した。私が誰なのか、今どこにいるのか。そして、一番大切な要件を伝えて。
「───孤児院の中にいるんです。本部の人に繋げて貰えませんか。話さなきゃいけない事があって」
電話の向こう側が慌ただしくなっているのが分かる。きっと警察の人達は相当混乱しているだろう。説得を試みるはずだったのに、加害者だとされているセンラくんに近付いて孤児院の中に押し込められた私が電話をかけてきているのだから。
しかし数十秒の間があったものの、信じてくれたらしい警察官の男性は無事捜査本部の人と電話を繋げてくれた。どこかで聞き覚えのある女性の声がする。
「Aさんですか？どれくらい話せる状況ですか？」
「長く話せない訳じゃないんですけど、至急調べて欲しいことがあって連絡しました」
「分かりました。調べますので、状況を教えてください」
「孤児院の運営状況と、子供たちへの虐待についてです。……子供たちも、私の幼馴染みたちも、大人に脅えています。刺激しないであげてください……私たちがなによりも恐れているのは、大人なんです」
そう言うと、向こう側にいた女性が息を飲んだのが聞こえた。やっぱり知らなかったんだ。虐待の事実を。こんなに彼らがボロボロで傷付いているのに、大人達はどうして彼らについて知ろうともしなかったんだろう。
彼女は私の体調などを一通り聞いてきた後に、まだ話せますか？と聞いてきたけれど私はそれを拒否した。これ以上話していたら泣いてしまいそうだった。
「ごめんなさい、幼馴染みの味方をしてしまって。でも、私も元々虐待のあった家庭で育ったので、彼らの気持ちは凄く分かるんです。……いつ大人に殺されるか、分からないから」
最後は殆ど涙声になってしまっていたと思う。私が元々虐待の酷い家で育った事実も、警察の人達が調べてくれているから分かってくるだろうし、それで信憑性が増してくれたらいいな。
───そして私からの一本の電話を受け、警察側は現場への突入を先送りにした。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
