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「会いたくなかったって、どうして」
「…………ごめんやけど、Aには言いたくない」
単純な疑問を問うただけだというのに、坂田くんはそう言って目を逸らしてしまった。あ、これ。やんわりとだけど、それでも確実に、拒絶されたんだ。
幼馴染みからの拒絶。それが私にはあまりにもショックだったらしく、信じられなくて暫く彼から目を逸らせないでいると、不意に坂田くんが小刻みに肩を震わせている事に気付く。手も震えていて、心做しか顔色も悪いようだった。季節的に考えても寒い訳ではないし、体調でも悪いんだろうか。
だけどそれに気づいて私がなにか行動を起こすよりも早く、少し後ろでこちらを見ていたうらたくんが坂田くんの手を握り、彼を抱き締めて「大丈夫、大丈夫」と何度も彼に声を掛け始めた。その際に彼らが私から距離をとったのを見て、私は察した。
私、坂田くんの傍にいない方がいいんだ。
「ごめん、A。ちょっとだけ席外してくれる？チビ達がいる部屋で待ってて」
坂田くんを抱きしめながらそう言うと、うらたくんは少しだけ寂しそうに笑った。
部屋を出ていく時に、風の音くらい小さな掠れた声で「ごめんね」と言ったのは一体どちらだったのだろう。そしてそれは、なにに対する謝罪だったのだろうか。今の私は彼らの声一つすら聞き分けることが出来ない。
なにも分からぬまま、私はその部屋から出た。
▽
▽
虚無感。脱力感。私が感じているそれは、ぬるま湯で手を濡らした時のような感覚に似ていて気持ち悪かった。じんわりとした熱なんかじゃ暖にもなりやしないのに、気分の悪さだけを韻に残して消えていくこの感覚が大嫌いだ。
何も知らないんであろう子供たちがいる部屋に入ってきたというのに、多分私はとても酷い顔をしていると思う。他人に見せられるような顔じゃない、本当に、酷い顔。
ふらふらと覚束無い足取りでその部屋の中に入っていくと、小さい子たちが不思議そうな顔をしながら私を見上げていた。それを見て、私は無意識のうちに怖がらせまいと思ったのか、顔に笑顔を作っていた。感情なんて一滴も籠っていないのに。
「ねー、おねーちゃんはうらた兄ぃと仲良いの？」
「もしかしてカノジョとかー？！」
「うらた兄ぃとどういう関係なのー？！」
最近のちびっ子は結構マセてるのね……と思いながらその言葉に対して「違うよ」と言って苦笑いを零すと、子供たちはその後もマシンガントークバリのスピードで質問を投げかけてきた。
わ、私聖徳太子じゃないんだからそんなに一気には聞き取れないのに。
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
