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志麻くんが去ってしまってから、なんとか冷蔵庫に辿り着いた私はキッチンの端の方に座り込んで、冷蔵庫の中に入っていた桃の缶詰を食べていた。
なんで桃缶なのかと言うと、フルーツが入った缶詰しかなかったからである。まぁ美味しいし糖分補給できたおかげで大分症状緩和してきたから、別にいいのだけど。
ここは殺人を犯した四人の高校生が立て籠っている孤児院に過ぎない。我儘だって、言ってられない。そもそも今この状況に陥っているのは私が原因である訳だし、そんな贅沢を言える立場でもない。
私の後先考えない行動は、いつも周りに迷惑をかけてしまう。今回も軽率に動かなければよかった、などと今更後悔しているし立て籠り犯である自分の幼馴染みと再開してしまったせいで迂闊に外に逃げる事も出来なくなってしまったし、自分の行動を後悔する他なかった。
これからどうしよう、と考えながらもぐもぐと桃を食べていると、不意にカタン、と物音が聞こえた。驚いて桃缶を落としそうになりながらもなんとか堪え、そして辺りを見回すために視線を上に上げると、そこには人影が。
「A、ここにいたの」
「っ？！あ、え、うらたくん……？」
「まぁたそんな事して……昔っから食いしん坊だもんね、Aは」
呆れたようにそう言いながら私を立ち上がらせると、うらたくんは優しくぎゅっと手を繋いで私を食堂の机の方に連れていった。優しい声。優しい目付き。まるで、昨日とは別人みたいだった。
そしてうらたくんは食堂にある椅子に座らせると、私が缶の中に入っている桃を食べるのを眺めながら微笑んでいた。なんだろうか、本当に別人レベルでうらたくんの繕う雰囲気が変わるものだから居心地が悪くなってしまった。
目の奥が真っ黒な緑眼も昨日と変わらないし頭に巻かれた包帯もそのまだけれど、でも目の下の隈は幾分か薄くなっている気がする。だから雰囲気が柔らかく見えるんだろうか。
「A、食いしん坊なのはいいけど……危ないからこんな所にはいちゃだめだよ。部屋に戻らないと」
「部屋って……うらたくんの？」
「まぁ俺の部屋にいてもいいけど、危ないからここには来ないで。こういう所は広いから危ない。いつまた大人が俺らを引き剥がしに来るか分からないし」
彼のその言葉は私の心に重くのしかかった。彼が言うそれは、きっと里親を見つけたと言って私と四人の家族を引き剥がした大人たちの事だからだ。
私が里親に引き取られたという出来事が、ここまで彼を苦しめていたなんて。
もしかしてこの事件は……私の所為で起こった？
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白雨(プロフ) - カエデさん» ありがとうございます〜！私の言葉で少しでも勇気を与える事ができていたら嬉しいです。カエデさんの人生がいいものとなりますように、陰ながら祈らせていただきます🍀 コメントありがとうございました◎ (4月22日 20時) (
レス) id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私もなにかと周りの大人に色々と狂わされた10代だったので凄いぐっときました。今はまだ人生立て直しを模索中ですが、白雨さんのあとがきで勇気をもらえました！ありがとうございます！！本当にめちゃめちゃ面白かったです！！ (4月21日 23時) (レス) @page50 id: fc5654a0ec (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - こゆきさん» コメントありがとうございます◎ 来月くらいには完結すると思いますので是非最後までお付き合い下さいませ〜！ (1月9日 23時) (レス) @page17 id: 2d25cdcdc2 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - めっちゃ面白い！続きがすごく気になる、、、 (1月9日 14時) (レス) @page17 id: fe749953cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雨 | 作者ホームページ：愛故のメリーバッドエンド。
作成日時：2023年12月14日 20時
